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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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昔ながらの味と「看板母さん」が持ち味 神戸・垂水の総菜屋 2018/09/22

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 神戸市垂水区上高丸3、上高丸団地の近くにひっそりとたたずむ総菜屋「千成」。人の往来が多い幹線道路から中に入った道に面し、看板も出していないため、一見して何の店か分からない。にもかかわらず、ご飯時になると前には行列が。その理由は、昔ながらの味と「看板母さん」と呼ばれる店主・山野すま子さん(70)の笑顔という。地元住人から慕われる総菜屋に赴いた。

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 同店は1979年、山野さんが開いた。年齢を重ねるなどしたため、作る総菜の量は減ったが、現在でも1日に白米約60合、鶏肉約14キロを使い、総菜の種類は約30種にもなる。店内は、お昼時や夕方になると、煮転がしやだし巻き、から揚げなどがずらり。中でも和牛のすじを甘辛く味付けした「牛すじ」が同店の名物で、創業当時から親しまれている。

 「味もさることながら、『今日は何買いにきたん』と気さくに話してくれるお母さんに会いたくて毎週来ている」と常連の男性(37)。他にも、元気な笑顔と大きな声に魅了される「すま子ファン」は多いという。一方、「私はただ毎日頑張っているだけやねんけど」と当の本人。だが、休みの日でもいい食材を求めて買い出しに行くなど仕事への姿勢はプロそのものだ。

 現在は娘2人と店を切り盛りする山野さん。世代を問わず人気の弁当も作れる数量が減ったが、売れ行きは今も衰えず、運動会シーズンなどの時期には店外まで行列ができることも。山野さんは「昔来ていた子どもが大人になって、子連れで来てくれることが一番うれしい。今後も体が動かなくなるまではってでも店を開き続けたい」と笑顔を見せた。(西竹唯太朗)