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初めての東京 気ままにひとり歩き【4】

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更新日:2018年03月04日

 パンダのシャンシャン誕生に沸く上野は、動物園だけでなく、美術館や博物館など超一級の文化施設が集まる。休日にふらりと足を運び、芸術三昧(ざんまい)に浸った。

芸術の杜(もり)を楽しむ(台東区上野公園)


前庭にロダンの名作が並ぶ国立西洋美術館。2016年7月に世界文化遺産に登録された=台東区上野公園

前庭にロダンの名作が並ぶ国立西洋美術館。2016年7月に世界文化遺産に登録された=台東区上野公園

 JR山手線上野駅の公園改札を出ると、目の前が上野恩賜公園(通称上野公園)だ。約53万平方メートルの広大な敷地に東京国立博物館、国立西洋美術館、国立科学博物館などが集積し、芸術文化の一大拠点となっている。桜の名所としても有名だ。
 江戸時代には徳川家の菩提寺である寛永寺の敷地だったが、幕末に新政府軍と幕府側の彰義隊が戦った「上野戦争」で建物のほとんどを焼失。その後、官有地となり、1873(明治6)年に日本初の公園として開園された。公園内には明治維新の立役者西郷隆盛像、すぐ近くに敗れた彰義隊の墓碑も残り、幕末の歴史をしのばせる。ちなみに、寛永寺(台東区上野桜木1丁目14)は上野公園の北に現存し、霊園には6人の徳川将軍が埋葬されている。
 まずは、近代建築の巨匠ル・コルビジュの設計として世界文化遺産に登録された国立西洋美術館へ。前庭でいきなり、ロダンの「考える人」や「地獄の門」など巨大なブロンズ像が目に飛び込んでくる。作品には「松方コレクション」の表示。松方コレクションとは、川崎造船所(現川崎重工業)の初代社長で神戸新聞初代社長も務めた松方幸次郎が収集した膨大な美術品のこと。その数は1万点ともいわれるが、ほとんどが散逸してしまい、仏政府が接収した約400点が戦後になって日本に返還された。国立西洋美術館は、このコレクションを展示するために1959年に建設される。
 館内にはモネやルノワール、クールベなど名だたる画家の作品が並ぶ。「モネの部屋」には、松方が直接画家から購入したという「睡蓮」の大作も。それを眺めながら、松方の先見性にあらためて感じ入る。
 次に向かったのは東京国立博物館。お目当ては「仁和寺と御室(おむろ)派のみほとけ」展。国宝の薬師如来坐像や空海の直筆を含む真言密教の秘書といった仁和寺に伝わる秘宝の数々を展示。入り口には、ふだん非公開の仁和寺・観音堂が再現され、写真撮影もできる。
 博物館は1872(明治5)年の設立で、本館のほか平成館など六つの建物が立つ。日本をはじめアジアの絵画や陶磁器、織物など収蔵品は10万点を超え、国宝や重要文化財など、まさに「お宝」がいっぱい。1度ではとても鑑賞しきれない。


恐るべし東京芸大学園祭


昨年秋の東京芸大学園祭の様子。ハンバーガーなどの巨大神輿が登場した=台東区上野公園

昨年秋の東京芸大学園祭の様子。ハンバーガーなどの巨大神輿が登場した=台東区上野公園

 ミュージアム群に加えて、芸術の杜(もり)に華を添えるのが、芸術家の卵たちが学ぶ国内屈指の東京芸術大学の存在だ。専用の美術館やコンサートホール「奏楽堂」を備え、一般にも公開されている。
 昨年夏、初めて芸大美術館を訪れたときには、ちょうど創立130周年記念特別展「藝大コレクション」が開かれていた。横山大観ら歴代の学生たちの卒業制作や、美術教育のために収集した国宝級の名品が勢ぞろい。神戸出身の小磯良平が友人で詩人の竹中郁を描いた「彼の休息」にも初対面する。
 さらに、毎年9月ごろに行われる学園祭「藝祭」も見ものだ。圧巻は新入生が夏中かかって制作するという巨大神輿。昨年は、大蛇やヴィーナス、ハンバーガーなどをテーマにした迫力満点の神輿8基が上野一帯を練り歩いた。チームごとにデザインした揃いの法被も華やか。神輿は発泡スチロールが材料らしいが、ハンバーガーのレタスの質感や持つ手の血管、しわまでリアルに表現していて、そのデザイン性や技術水準は恐るべし、だった。


レトロな空間で癒やされる


昭和初期の住宅を再生した「上野桜木あたり」。路地にも昭和の雰囲気が漂う=台東区上野桜木2丁目15

昭和初期の住宅を再生した「上野桜木あたり」。路地にも昭和の雰囲気が漂う=台東区上野桜木2丁目15

 さて、美術館巡りの途中で休憩するには、各美術館内のカフェもいいが、上野公園を通り抜けた上野桜木に足を延ばす。この辺りも寛永寺の境内だったところで、明治以降は芸術家や作家、商店主らが住居を構えた。今も古い民家や古木が残り、レトロな雰囲気を醸しだしている。
 代表格が大正時代の町家を利用した「カヤバ珈琲」、元銭湯を現代アートのギャラリーに改装した「スカイ ザ バスハウス」、昭和初期の3軒家をショップや工房などとして再生した「上野桜木あたり」。地元のNPO法人が地域の古民家やコミュニティーを守ろうと運営に乗り出した。「カヤバ珈琲」で一息つくのもよし、「上野桜木あたり」でテイクアウトの谷中ビールで乾いたのどを潤すのもよし、気分しだいで選べる。ただ、カヤバ珈琲は人気で、行列していることが多い。
 それにしても、これだけ国立の文化施設が集まっているとは、なんと恵まれた環境だろう。子ども時代から本物に触れて育つ機会に恵まれるのとそうでないのとでは大きな違いがある。コーヒーを飲みながらそんな思いがよぎった。
 次回は、上野にも近く、梅の花が見ごろを迎えた湯島天満宮の周辺を巡る。(東京支社・村上早百合)


【地図】今回歩いたのは…


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