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初めての東京 気ままにひとり歩き【10】

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更新日:2018年06月04日

 海外有名ブランドの旗艦店や老舗が立ち並び、華やかなイメージの銀座界隈。その中心地に立つ伝統芸能の殿堂へ、歌舞伎を観に行った。

銀座に歌舞伎を観に行く(東京都中央区銀座界隈)


背後にオフィスビルを抱く豪華な和風建築の歌舞伎座。客席は約2000人を収容できる=東京都中央区銀座4

背後にオフィスビルを抱く豪華な和風建築の歌舞伎座。客席は約2000人を収容できる=東京都中央区銀座4

 関西では敷居が高かった歌舞伎が、東京では身近に感じられる。というのも、銀座の真ん中にある歌舞伎座(東京都中央区4丁目12)では、ほぼ毎日、昼と夜の2回公演があり、いつでも観に行けるからだ。
 事前にチケットを予約購入してもいいが、今回は一幕見席で観ることに。幕見席は4階にあり、当日、自分が観たい演目だけを並んで買う。いす席約90席、立ち見約60席を合わせ計約150席。料金は一幕1000~2000円前後とお手頃。仕事帰りに一幕だけ観る、なんてこともできる。
 地下鉄日比谷線東銀座駅の改札を抜け、直結する地階からエスカレーターで地上へ。劇場前には、出し物を描いた大型の絵看板が立てられ、雰囲気を盛り上げている。建物の左手にある一幕見席の専用入り口には、既に長蛇の列が。係の人に「いす席はいっぱいで立ち見になります」と念を押され、30分ほど並んで1幕目から3幕目までを購入した。
 そのまま幕見用入り口からエレベーターで4階へ上がると、立ち見席は前後2段になっていた。さすがに舞台は遠いが、全体をよく見渡せる。3幕の終わりまで3時間余りも立ちっ放しはつらいと思っていたら、2幕目からは座ることができた。周囲は外国人観光客が結構いる。
 公演は故十二代目市川團十郎をしのび、息子で人気役者の市川海老蔵が登場。出し物は「雷神(なるかみ)不動北山桜」。あらすじは省くが、歌舞伎十八番といわれる代表的な演目の「毛抜」「鳴神」「不動」の三つが含まれる大作。しかも海老蔵が1人で5役を演じるとあって、見どころもたっぷり。4階からでもせりふもちゃんと聞こえ、立ち回りなど歌舞伎の醍醐味も味わえた。


江戸の荒事、上方の和事


江戸で初めて歌舞伎が催された場所に立つ江戸歌舞伎発祥之地の碑=東京都中央区京橋3

江戸で初めて歌舞伎が催された場所に立つ江戸歌舞伎発祥之地の碑=東京都中央区京橋3

 歌舞伎といえば、男役も女役もすべて男性が演じるが、もともとは出雲の阿国が率いる女性の一座が京都で踊った「かぶき踊り」が起源とされる。この「女歌舞伎」が全国に広がり、江戸では1624年に猿若座、後の中村座ができた。現在、京橋近くの中村座跡には「江戸歌舞伎発祥之地」(中央区京橋3丁目4)の碑が立つ。周辺は木々に囲まれた小さな公園になっていて、アジサイがきれいな花を咲かせていた。
 「女歌舞伎」は人気を呼んだが、やがて風俗を乱すとして禁止され、代わって少年が演じる「若衆歌舞伎」、さらに成人男性による「野郎歌舞伎」が台頭。そして、上方では柔らかな演技を得意とする「和事(わごと)」、江戸では隈取りという独特の化粧と大胆な演技が特徴の「荒事(あらごと)」が発展する。ところが、江戸末期の天保の改革で再び弾圧を受け、芝居小屋は中心部から浅草に移転を命じられる。人気役者が江戸から追放されたりもした。
 こうした苦難を乗り越え、現在地に歌舞伎座が建てられたのは1889(明治22)年。その後、関東大震災や太平洋戦争時の空襲などに遭い、幾度か建て替えられた。現在の建物は2013年に完成した5代目だ。和風の伝統建築の背後に高層オフィスビルを背負った独特の姿が、ひときわ目を引く。
 近年は古典的な出し物だけでなく、スーパー歌舞伎といった新しい舞台も上演される機会が増え、ファン層を広げている。昨年夏、人気漫画を題材にしたスーパー歌舞伎セカンド「ワンピース」を新橋演舞場で鑑賞したが、宙づりあり、舞台上で大量の水が流れ落ちる滝ありで、面白かった。客席には若い女性や男性も目立った。伝統を守りつつ、時代の変化をとらえたチャレンジが、400年以上も歌舞伎が生き続けている所以なのだろう。


幕間や観劇後の楽しみ


歌舞伎座近くにあるジョン・レノンゆかりの老舗喫茶店「樹の花」=東京都中央区銀座4

歌舞伎座近くにあるジョン・レノンゆかりの老舗喫茶店「樹の花」=東京都中央区銀座4

 歌舞伎見物は、普通に1~3階席のチケットを買って行けば、昼の部、夜の部とも休憩を入れて4時間はかかる。その間、観劇もさることながら、幕間にお弁当を食べたり、売店を巡ったりするのも楽しみだ。地下2階には弁当や土産物を売る店が集まる「木挽町(こびきちょう)広場」があり、ここで弁当や菓子を買って劇場内に持ち込むことも可能。劇場内にもレストランや売店があり、とくに3階の「めでたい焼き」はいつも行列ができ、売り切れることが多い。
 劇場内の調度品も見逃せない。2階のロビーには、竹内栖鳳、上村松園らの日本画が飾られ、ちょっとしたギャラリーになっている。幕間に披露される緞帳(どんちょう)も見もの。あるとき、画家の草間弥生さんがデザインした緞帳が披露され、大胆な構図と鮮やかな色に目を見張った。
 また、5階には「歌舞伎座ギャラリー」と和風庭園が設置されている。ギャラリーは有料だが、歌舞伎で使われる馬やかご、効果音を出すための小道具、衣装などを展示。小道具は実際に触ったり、音を出したりする体験ができる。
 劇場周辺にも立ち寄りたい場所が集まる。歌舞伎役者が通うというシチュー専門店「銀之塔」、オムライスが名物の喫茶「YOU」などは昼どきや週末には長い行列ができる。ジョン・レノンとオノ・ヨーコが訪れた店として有名な喫茶店「樹の花」も近くにある。入り口にはそのエピソードが紹介され、店内にはジョン・レノンのサインも飾られている。落ち着いた雰囲気の中で、コーヒーを味わいながら、じっくりと観劇の余韻をかみしめた。
 次回は、明治の文明開化のころから築かれてきた銀座の街の昔と今を訪ねる。(東京支社・村上早百合)


【地図】今回歩いたのは…


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