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初めての東京 気ままにひとり歩き【20】

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更新日:2018年12月06日

 東京の紅葉名所、明治神宮外苑のイチョウ並木は黄色に染まっていた。そこから青山霊園を巡り、高級ブランド街の表参道へ。1970年の大阪万博のシンボル「太陽の塔」を創作した画家岡本太郎の傑作にも出会った。

黄金色に輝くイチョウ並木(東京都港区北青山周辺)


東京の代表的な紅葉スポット、明治神宮外苑イチョウ並木。巨木が4列に並ぶ姿は壮観=東京都港区北青山

東京の代表的な紅葉スポット、明治神宮外苑イチョウ並木。巨木が4列に並ぶ姿は壮観=東京都港区北青山

 地下鉄銀座線外苑前駅から東に進むと、青山通りから明治神宮外苑円周道路までの約300メートルに、140本を超えるイチョウが4列に並ぶ。空に向かって真っ直ぐにそそり立つ黄金色のイチョウは、まるで剣のように映る。
 明治神宮外苑の創建に伴って整備され、1923(大正12)年に植栽された。当時は高さ6メートルほどだったが、今では最高では28メートルにも。青山通りから奥に行くにほど樹高が低くなり、ドーム屋根の聖徳記念絵画館が奥に見える構図は、遠近法の絵画のようだ。
 春の新緑、夏の青葉など四季折々に違った風景を見せ、映画やテレビドラマのロケ地としても知られる。とくに紅葉の季節は美しく、落葉がじゅうたんのように歩道を埋め尽くす。毎年、この時期には「神宮外苑いちょう祭り」が開かれ、180万人の人出でにぎわう。
 周囲には、神宮球場や秩父宮ラグビー場、建設中の新国立競技場などスポーツ施設が集まる。その一角に、科学技術の展示施設「TEPIA先端技術館」も立つ。医療やロボットなどさまざまな分野の先端技術を体験できる施設で、注目のAIやIoTで高齢化や人口減少をどう解決するかなどを、ロボットや映像で紹介。入場は無料で、子どもたちがプログラミングを体験することもできる。


忠犬ハチ公も眠る青山霊園


明治以降の著名な政治家や軍人の墓の中に、忠犬ハチ公の墓もあった=東京都港区南青山2

明治以降の著名な政治家や軍人の墓の中に、忠犬ハチ公の墓もあった=東京都港区南青山2

 外苑前駅からは、明治維新後の政治家や軍人らが眠る東京都立青山霊園(港区南青山2)も徒歩圏内だ。霊園に入ると、南北に通る桜並木の紅葉に迎えられる。霊園は1874(明治7)年、地名の由来でもある美濃郡上藩(現岐阜県郡上市)の藩主青山家の下屋敷跡地に、明治政府が開設した。敷地は約26ヘクタール。
 まず目についたのは青銅製の巨大な碑だ。その近くの鳥居のある立派な墓石には、「大久保公」の名が刻まれている。明治維新の三傑と言われた明治の元勲、大久保利通の墓だ。大久保は1878(明治11)年、紀尾井坂で暗殺された。近くには、昭和初期に東京駅で暗殺された宰相濱口雄幸や、1932(昭和7)年の五・一五事件の犠牲となった首相犬養毅の墓もある。
 しばらく霊園内を巡っていると、「忠犬ハチ公の墓」の碑を見つけた。飼い主の東京帝国大学教授で農学博士の上野英三郎の墓所内に、小さな祠があり、犬の人形や花、さい銭まで置かれている。飼い主と仲良く葬られていることに、ちょっと感動する。
 少し離れた霊園西側には、川崎造船所(現川崎重工業)の初代社長で神戸新聞社初代社長も務めた松方幸次郎の墓がある。松方は、国立西洋美術館が所蔵する美術品群「松方コレクション」を収集したが、昭和恐慌で経営が悪化して退任したため、功績は長い間、忘れられていた。その並びにある父親で明治の元勲だった松方正義の大きな墓に比べると、墓のたたずまいは慎ましい。


爆発する岡本太郎の芸術


画家岡本太郎が原爆をテーマに描いた「明日の神話」。長年、行方不明だったが修復され、展示されている=東京都渋谷区道玄坂1

画家岡本太郎が原爆をテーマに描いた「明日の神話」。長年、行方不明だったが修復され、展示されている=東京都渋谷区道玄坂1

 青山霊園を通り抜け、西に向かって表参道方面を目指す。途中にある根津美術館あたりから、高級ブランドショップ街へと風景が変わっていく。ちなみに、根津美術館は、東武鉄道の社長などを務めた実業家、初代根津嘉一郎が収集した陶磁器や茶道具など日本や東洋の古美術品を展示。現在の建物は、建築家隈研吾の設計で、広大な庭園も魅力だ。
 根津美術館の近くの住宅街の一角には、「芸術は爆発だ」の名言を残した画家岡本太郎の記念館がある。外壁に特徴的な絵が描かれているのが目印。もともとアトリエ兼住居だったところで、1996年に84歳で亡くなるまで50年近く住んでいた。庭は南洋植物がこんもりと生い茂り、その中に岡本の作品が点在。2階の展示室は、真っ赤な壁に絵画作品が並び、「顔」と題したユニークなスピーカーから生前の岡本が歌う「枯葉」が流れてくる。
 庭に面した1階の部屋に入って一瞬、驚いた。岡本そっくりの人形が手を広げて立っていた。その奥は天井が吹き抜けとなったアトリエ。壁際は数えきれないほどのキャンバスがぎっしり並び、机の周りはものすごい数の絵筆やブラシ、絵の具で埋め尽くされている。赤や黄のカラフルなオブジェが置かれ、アップライトのピアノも。ピアノの名手でショパンなどを演奏していたらしい。館内は、岡本のエネルギーがあふれていた。
 岡本の傑作は、JR渋谷駅周辺でも見られる。原爆が炸裂する瞬間を描いたとされる、巨大壁画「明日の神話」。1970年の大阪万博の「太陽の塔」と同時期の制作で最高傑作とされながら、長い間行方が分からなくなっていた。2003年にメキシコで発見されたが傷みが激しく、日本に移送後に数年がかりで修復。08年から渋谷駅の連絡通路で公開されている。巨大画面いっぱいに広がる赤。中央で燃え上がる炎に浮かぶ骸骨。逃げまどう人や動物。原爆の悲惨なシーンだが、そのパワーに息をのむ。
 最後は、高級ブランド街の表参道に向かう。1920(大正9)年の明治神宮創建時に整備されたケヤキ並木が赤茶色に色づき、華を添える。夜のイルミネーションも華やかだ。通りの両側は、ルイ・ヴィトン、グッチ、ロエベなど世界の有名ブランドショップが軒を連ねる。かつての表参道のシンボル、関東大震災後の復興に伴い建設された同潤会青山アパートは姿を消し、2006年に複合商業施設「表参道ヒルズ」に変わった。設計は建築家安藤忠雄氏。坂道の傾斜を生かし、吹き抜けの中央を囲むようにらせんを描く斬新なデザインで、地上6階地下6階に約100店舗が入る。旧同潤会の歴史的建築も一部保存され、ギャラリーとして利用されている。
 すぐ裏手には、新潟県のアンテナショップ「新潟館ネスパス」がある。併設の飲食店では、酒どころ新潟の豊富な地酒や郷土料理を食べられる。近年、全国の自治体が銀座や日本橋などにアンテナショップを構える。東京にいながらにして全国各地の特産品や料理を味わえるのは、他都市ではなかなか味わえない楽しみだろう。
 次回は、日本最大の古書街として知られる神田神保町周辺を巡る。(東京支社・村上早百合)


【地図】今回歩いたのは…


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