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愛されて60年 神戸・長田の喫茶「日本堂」閉店

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更新日:2017年05月31日

  • コーヒーを準備する伊藤彰さん(右)とあや子さん=神戸市長田区二葉町3

 サイフォンで入れたコーヒーに、シンプルな味付けのサンドイッチ。神戸市長田区の六間道商店街で、昭和の雰囲気を醸してきた喫茶店「日本堂」が31日、60年の歴史に幕を下ろす。閉店を知った常連客が次々と訪れ、店主の伊藤彰さん(74)と妻あや子さん(68)をねぎらっている。
 日本堂は1957年、伊藤さんの母政枝さんが始めた。向かいにあった映画館「日本館」から屋号をもらった。レンガを組んだカウンターに木の床。開店から使い続けるというステンレスの盆や銀のスプーンを目にすると、昭和にタイムスリップした気分になる。
 戦後すぐに父を亡くした伊藤さんは、政枝さんに女手一つで育てられた。店には15歳の時から立ち続ける。69年にあや子さんと結婚した後は、3人で切り盛りした。今ではまばらな人通りの商店街だが、当時は自転車が通れないほど混雑していた。伊藤さんは「お客さんがひっきりなしで忙しかった」と振り返る。
 阪神・淡路大震災の直後はライフラインが止まる中、水とアルコールランプを何とか調達し、店の再開を待つ被災者にコーヒーを振る舞った。「ずっと来てくれていた人も亡くなった。ここが近所の人の安否確認の場になっていた」と伊藤さん。震災を機につながった顧客もいたという。
 数年前に肩の手術をした際も閉店を考えたが、あや子さんは「お義母さんが朝、夢の中で起こしてくれる。一人でも続ける」と聞かなかった。政枝さんは365日店を休まず、2005年に亡くなった日も店に出ていた。「動けなくなる前に」。伊藤さんの説得に、あや子さんもようやく同意した。
 40年来の友人という西村政之さん(73)は「よく出前をしてもらった。なくなるのはさみしいが、60年間ご苦労さまという気持ちでいっぱい」と感謝した。
 店は閉めても、近所の人が集まれるスペースとして提供するつもりだという。「みんなで話すのが好きだから」。この場所から笑い声は絶えなそうだ。(阪口真平)

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