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飲食店「ツナガリ」誕生 交流拠点で障害者や高齢者の就労支援 |
更新日:2020年10月14日
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店の名物「あげいも」とフレッシュジュース
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店の前に立つ多田佳史さん(左から3人目)、妻の真紀子さん(左から2人目)と店員=加東市社
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内装工事でバリアフリー化した「ツナガリ食堂」=加東市民病院
地域の交流拠点で、障害者や高齢者の就労支援も兼ねた飲食店が兵庫県加東市社にオープンした。店名は「ツナガリ」。経営者の多田佳史さん(45)=同県小野市=がかつて交通事故に遭って障害を負い、社会復帰する上で家族や人とのつながりが大切だと感じたことから名付けた。「地域に根ざし、役立つ店を目指したい」と意気込んでいる。(中西大二)
店は佳史さんと妻の真紀子さん(37)が営み、名物の「あげいも」やフレッシュジュース、軽食を楽しめる。2人は宍粟市でも季節限定の流しそうめん店を経営。あげいもは先代から伝授された秘伝レシピによるもので、シンプルなメニューだがファンは多い。
店は県認可の障害者就労継続支援B型事業所で、障害者の一般就労のための訓練施設でもある。現在、知的障害者の男性1人が働いており、今後4人が就労する予定。売り上げは好調で、就労者には同様の施設の1日平均工賃を上回る千円を支給しているという。
佳史さんは9年前、神戸市内で信号待ちをしていた時に、車が突っ込んできて、両腕に大けがを負った。今も左右の腕を動かしにくいといった障害を抱えるが、当時は、多くの人の支援を受け、会社を設立できるまでに回復した。この経験が現在の仕事の原点になっているといい、「障害があっても、それぞれが持つ能力を最大限に使い、仲間と一つになれば十分にやっていける」と確信する。
また今夏、加東市民病院(加東市家原)の飲食店が7月末で閉店になった。病院側と交渉し、車いすでも利用しやすいよう一部壁を取り払い、バリアフリー化を実現。ツナガリ食堂として9月中旬に開店した。当時、働いていた4人の女性も再雇用した。
長く神戸を拠点に介護事業を手掛けてきたが、4年前に小野市へ移住。「空気がおいしく、行政機能がコンパクトで教育環境も整っている」と小野、加東市を気に入っている。「店を通して田舎の魅力を発信し、新たな移住者も呼び込みたい」と話す。ツナガリTEL0795・27・7222