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廃虚ホテルを国文化財に 摩耶山中で進む調査活動

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更新日:2018年05月08日

  • 上部のアーチや窓の形が印象的な最上階の余興場。360度カメラによる撮影で、全方位が写り込んでいる=神戸市灘区

  • 建築士の指導を受けながら測量する保存プロジェクトの出資者ら=神戸市灘区

  • 老朽化が著しいものの昭和初期のモダニズムが薫る外観=神戸市灘区

 昭和初期のモダニズム建築ながら、放置されて廃虚化した神戸市灘区の旧「摩耶観光ホテル」で、国の登録文化財を目指す調査活動が進められている。保存プロジェクトに賛同、出資した廃虚の愛好家らが測量や撮影に協力し、得られたデータを基に登録申請用の資料を作る。主宰者は「廃虚が登録文化財になった例は聞かない。実現すれば、文化的価値が高いのに老朽化で存続が危ぶまれる各地の近代化遺産を継承する手だてになる」と期待する。(田中靖浩)

 同ホテルは1929(昭和4)年、同区の摩耶山中に完成。曲面のある外壁や丸窓など意匠を凝らした造りから「山の軍艦ホテル」などと呼ばれた。戦争や経営難で休業と再開を繰り返し、学生向けの合宿所を経て93年に閉鎖。放置され老朽化が進む中、独特の雰囲気が評価され人気映画の撮影などに使われる一方、不法侵入に悩まされてきた。
 2015年、「軍艦島」として知られる長崎市・端島(はしま)の炭鉱関連建築群が「明治日本の産業革命遺産」の一環として世界文化遺産に選ばれた。廃虚に対して高い価値が認められたことで、旧摩耶観光ホテルの地元でも地域活性化に役立てようとする機運が高まり、17年春から市民団体による催しの中で、同ホテルの外観が見学できるようになった。
 さらに同年夏、同ホテルを登録文化財にすることで保存への道筋を確立しようと、建築士らでつくるNPO法人「ひょうごヘリテージ機構H2O神戸」、産業遺産の保存・活用を手掛ける同法人「J-ヘリテージ」、所有者である日本サービス社が共同で、インターネット上で資金を募るクラウドファンディングを開始。登録の申請に必要な資料作成、防犯や雨漏り対策などに充てる500万円を、賛同する人たちからわずか2週間で集めた。
 一定金額以上の出資者には、通常は入れない建物内部の調査に同行できる“特典”が用意された。調査は17年11月から19年3月までで計約230人が参加。出資者らは建築士の指導を受けながら建物各所の寸法を測ったり、床の落下物をスケッチしたりする。調査の合間には自由な撮影時間があり、写真は私的利用もできる。廃虚巡りが趣味という埼玉県の公務員前浜奈美さん(21)は「建物細部の造り込みがとても凝っている。軍艦島は世界遺産になり、観光用の通路からしか見られなくなった。ここは保存されてほしいけれど、軍艦島のように整備されるのは望まない」と話した。
 H2O神戸の松原永季(えいき)さん(52)は、廃虚を文化財として捉えることについて「このプロジェクトに携わる人たちは『朽ちていく姿をめでる』という共通認識で活動している」と話す。今回、一般の出資者が建物の調査活動に参加することについて「市民の協力があってこそ文化財が残せるという例になる」と意義を強調した。

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