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天才絵師・河鍋暁斎の回顧展 没後130年、北斎にも比肩

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更新日:2019年04月12日

  • 暁斎の巧みな構成力や卓越した描画力を示す大作「地獄極楽図」(明治時代、東京国立博物館蔵)。展示は4月29日まで=兵庫県立美術館

 幕末から明治前半に一世を風靡(ふうび)した絵師・河鍋暁斎(かわなべきょうさい)(1831~89年)の没後130年を記念した回顧展が兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開かれている。正統派の伝統絵画も大衆向けの浮世絵も自在に描いた天才絵師。その型にはまらぬ奔放自由さゆえか、戦後、一時忘れられかけたが、卓越した画力や発想力、幅広い画域、反骨精神に、近年再評価が進んでいる。(堀井正純)
 「日本の絵画史上最大の画家は?」との問いに、葛飾北斎を挙げる人は少なくないだろう。浮世絵の枠にとどまらぬスケール、森羅万象あらゆるものを描いた画力は海外でも評価が高い。
 暁斎は、その巨人・北斎にも比肩しうる絵師といってよい。弟子には、鹿鳴館(ろくめいかん)を設計した英国人建築家ジョサイア・コンドルがおり、彼の著作などを通じ、早くから欧米でも注目されていた。作品は大英博物館や米・メトロポリタン美術館にも収蔵されている。
 暁斎は下総(しもうさ)国古河(こが)(現茨城県古河市)生まれの江戸育ち。3歳でカエルの絵を描いたといい、幼少期から画才を発揮し、7歳で浮世絵師・歌川国芳の画塾へ。次いで10歳のとき、狩野派に入門し、伝統的な画法を習得。西洋画法まで学んだ。幕末の混乱期から維新、文明開化と続く激動の時代を、変幻自在の筆1本で駆け抜けた。
 会場には、格調高く端正な花鳥画や仏画、説話画など古典的作品から、ユーモアや風刺精神あふれる錦絵(浮世絵版画)、戯画・狂画、妖怪画まで約200点を展示。幅広い画域と多様な画風に驚く。今回、出品作はないが春画も一流だった。「聖俗美醜」あらゆるものが題材で、弟子コンドルは、追悼文で「何でも描ける多彩な技量」と師について書き記した。
 残虐描写も秀逸で、「月に狼図」は、水墨による素早い筆さばきのオオカミに対し、獣がくわえた生首は緻密な描写で実に生々しい。9歳のとき、生首を拾って写生したとの逸話もさもありなんと思わせる。遺体が朽ち果ててゆく様子を描く「九相図(くそうず)」も迫真の出来栄えで、暁斎が生も死をも真剣に見つめ、描いたことを伝える。
 当代きっての人気絵師で、「大森彦七鬼女と争う図」など、寺社への奉納画も数多く受注した。夜間に街頭などで照明によって鑑賞する「行灯(あんどん)絵」も制作。明治憲法発布を祝った大作「舞楽 蘭陵王(らんりょうおう)図」も、元は行灯絵として公開されたようだ。まだ西洋由来の「美術」という概念がわが国に根付く以前のこと。暁斎の絵が、祭りや寺参りなど、人々の暮らしの中に溶け込み、愛されていたことを雄弁に物語る。
 また今回の目玉は豊富な下絵やスケッチ類。その筆遣いは、完成作以上に躍動感にあふれ感動的だ。高いデッサン力、観察力にうならされる。生気あふれる線からは、絵師の鼓動や息遣い、絵にかけた情熱さえ伝わってくるようだ。
 5月19日まで(前・後期で作品の展示替えあり)。月曜(4月29日、5月6日を除く)と5月7日休館。一般1400円ほか。阪神岩屋駅から徒歩約8分。同館TEL078・262・0901
※文中の年齢は数え年

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