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源平咲きの桜? 1本に2色の花咲く 神戸・東灘 |
更新日:2019年04月17日
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白い花の中に薄いピンク色の花が交じった桜=東灘区森北町1
1本の桜の木に白とピンク、2色の花が咲いている-。映像写真部に今月初め、読者からそんな便りが寄せられた。突然変異で一つの木に紅白の花が咲く「源平咲き」は、梅や桃では知られるが、桜では聞いたことがない。大発見か!? 桜に詳しい人に聞いてみると…。(吉田敦史)
神戸市東灘区の会社員、上西修平さん(46)からの情報を頼りにJR甲南山手駅の北側へ。すぐそばのマンションの植え込みに並ぶ数本の桜の中に、確かに、2色の花が咲く木があった。多くが白い花なのに、ところどころ薄いピンク色の花が交じっている。このマンションに住んで36年という女性(84)は「昔から植わっているけど、2色の花には気付かなかった」と話す。
果たして源平咲きなのか。兵庫県加西市の樹木医、高田正さん(62)と志方清広さん(61)に写真を見てもらうと「源平咲きではないね」とあっさり否定されてしまった。ではなぜ2色に?
2人によると、この木はオオシマザクラで、一部の早く咲いた花が白からピンク色になり、後から咲いた白い花と共演したという。ただ、「面白い現象ではある」と興味を示した。
公私で桜の研究を続ける西宮市花と緑の課、藤原隆之課長(51)も同じ意見だ。「花の終盤に中心部が赤くなり、花びらに赤い筋『血脈』が現れるのを『化粧咲き』『けわい(化粧)』と呼ぶ」と教えてくれた。北海道に原木がある「松前早咲」は「血脈桜」と呼ばれるほど、咲き始めと終わりで色が変わるという。
今回のオオシマザクラについては「一気に咲いて一気に散れば気付かないけれど、今年は花が咲いた後に気温が下がったり上がったりして開花の時期がずれ、紅白の差が顕著になったのでは」と説明した。
確かに寒暖の差が激しく、服装に悩まされたこの春の気候が、粋な置き土産も残してくれた。