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ファッションの中の「花」 古今東西160点咲き誇る 神戸

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更新日:2019年07月19日

  • 花をデザインしたドレスや和服、扇などが並ぶ会場=神戸ファッション美術館(撮影・三津山朋彦)

  • 永澤陽一氏による、花柄のプリントシャツで構成した“花壇”

  • 繊細に花模様を描いたベルギーのレース刺繍(部分)

  • 驚くべき技術の刺繍が施されたインドの布(部分)

 〈花衣(はなごろも)ぬぐやまつはる紐(ひも)いろいろ〉。大正・昭和に活躍した俳人・杉田久女(ひさじょ)の代表的な句だ。「花衣」は、花見に着る晴れ着。華麗な桜模様の衣を連想させる。「花」は古来、国や民族を超えて人々に愛され、衣装のデザインにも多用されてきた。神戸ファッション美術館(神戸市東灘区)で開催中の企画展「Flowers(フラワーズ) モードに咲く花」(神戸新聞社など主催)は、花をあしらった古今東西の衣装や靴、帽子、扇など約160点を紹介する。(堀井正純)
 鮮やかな色彩や美しい花びら、甘い香り…。われわれを引きつけてきた花は「美」そのもの。美術や工芸で扱われ、暮らしを彩ってきたのは当然のことだろう。服飾の世界でも、写実的表現のほか、華やかな文様・図案として、布地を飾ってきた。
      ◇
 本展は4部構成。冒頭のテーマは「フラワーガーデン」。観客を出迎えるのは、デザイナー・永澤陽一氏によるインスタレーション(空間芸術)だ。6種の花柄のプリントシャツ186枚を円形に配し、カラフルな直径約5・4メートルの“花壇”を形作った。一輪の大輪の花のようでもあり、花の渦のようにも見える。
 続く部屋のテーマは「歴史」。ロココ・スタイル、クリノリン・スタイルなど、18世紀以降の西洋服飾の様式の変化をたどりつつ、いかに多様多彩な花のモチーフがドレスを装飾していたかを伝える。
 驚くべきは職人たちの手業(てわざ)だ。ベルギー・レースを用いた19世紀後半のオーバードレスは、紺地の服に羽織ると、白い花々が幻想的に浮かび上がる。繊細端麗。細部に神が宿る。
 19世紀末~20世紀初頭のパリ社交界で人気を博したキャロ姉妹店でデザインされたイブニングドレスは、ピンクや水色、金色のビーズ刺繍(ししゅう)の緻密さに目を見張る。エレガントかつオリエンタルな雰囲気がいい。
 「和」の意匠も負けていない。女子美術大学美術館と東京家政大学博物館の着物コレクションから、江戸時代の小袖(こそで)や打ち掛け、大正・昭和初期の単衣(ひとえ)、振り袖などを出品。伝統の重みだけでなく、大胆モダンなデザインが見事だ。チューリップ柄、ユリ柄の単衣が斬新でとりわけ目を引く。
 第3部は「民族」。日本の桜・菊や、台湾の梅、スイスのエーデルワイスなど、国や民族を象徴する花があるが、民族衣装はまさに百花繚乱(りょうらん)。百花の王たる牡丹(ぼたん)をはじめ、無数の花々が、東欧や南欧、アジアのエキゾチックなスカートやドレスの上で咲き誇る。
 インドのマハラジャ階級の女性らが身につける衣装用の布に施された刺繍は、まさに「神業」「超絶技巧」だ。驚異的な時間、労力を注ぎ込み、仕上げられた刺繍の花々は、糸で編まれた宝石といってよい。
 金糸や絹糸で織られ、透けて見えるような繊細さ、上品さが魅力の貴重な中国の明綴(みんつづれ)の織布も必見。こちらは「織り」の芸術品だ。
 第4部には皇帝ナポレオンの戴冠式を再現した絢爛(けんらん)豪華な衣装とマネキンが並ぶ。
      ◇
 ふと思い出したのは、「花様年華(かようねんか)」という中国の言葉。人生で最も美しく輝く時を意味するとか。布やドレスの上に、移ろう花の美の最も素晴らしい瞬間が封じ込まれているのだろう。
 9月1日まで。月曜休館(8月12日は開館し、翌13日休館)。一般800円ほか。六甲ライナー・アイランドセンター駅下車。神戸ファッション美術館TEL078・858・0050

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