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アニメ界の「神」、富野由悠季の全貌 絵コンテや原画など3千点展示

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更新日:2019年12月06日

  • 劇場版「機動戦士ガンダム」のポスターなどが並ぶ会場=兵庫県立美術館

  • 少年時代の富野監督の描いたスケッチや父が開発に関わった「与圧服」の写真=兵庫県立美術館

  • 会場で話す富野由悠季監督=兵庫県立美術館

 富野由悠季(よしゆき)。アニメファンには「神」のごとき存在である。今年で放映開始40周年を迎えた伝説的名作「機動戦士ガンダム」の生みの親。リアルな戦争や複雑な群像劇を描き、子ども向けだったロボットアニメを変革した。78歳を迎えた演出家・監督の仕事の全容に迫る「富野由悠季の世界」展(神戸新聞社など主催)が、兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開催中だ。(堀井正純)
 本人のメモや企画原案、絵コンテに加え、数多くのスタッフらによる設定資料、セル画、イラスト原画など約3千点の資料群が会場を埋める。映像資料もあり、じっくり鑑賞すれば数時間がかりになるだろう。
 冒頭では富野の「原点」にスポット。小中時代のロケットや宇宙船、精密な戦闘機の絵は宇宙やSF、兵器・戦争に関心があったことを示す。興味深いのは、戦時中に軍需工場で、富野の父が開発にかかわったという「与圧服」の写真。潜水服に似るが、航空パイロット用で「宇宙服」も連想させる。リアルさとSF的な未来志向、想像力。富野的なるものをこの頃から育んでいた。
 大学時代は8ミリ映画を制作し、映画の道を志したが、手塚治虫率いるアニメ制作会社「虫プロ」に入社。アニメ「鉄腕アトム」制作などにかかわる。絵を描くアニメーターではなく、演出を担当。会場には当時の絵コンテも並ぶ。
 72年、手塚の漫画「海のトリトン」アニメ版で監督デビュー。「勇者ライディーン」「無敵超人ザンボット3」でも監督を務め、79年の「機動戦士ガンダム」へとつながる。
     ■
 ガンダムは低視聴率で打ち切りとなったが、ファンらの後押しにより映画版が公開され、「ガンプラ」と呼ばれるプラモデル人気の高まりとともに社会現象ともいえるブームを呼んだ。
 スペースコロニー、宇宙開拓民と地球に残った人々の対立、新人類ニュータイプへの覚醒など緻密なSF的設定に加え、奥行きのある人間ドラマや残酷な戦争の実像を描き、多くの人々の心を捉えた。「アムロ、行きまーす!」「悲しいけどコレ、戦争なのよね」など登場人物たちの名せりふを覚えている人も多いだろう。何より、ロボットを勧善懲悪のヒーローではなく、単なる「兵器」として扱ったのが画期的だった。
 キャラクターデザインや作画監督の安彦良和、メカニックデザイン担当の大河原邦男ら、優れた才がガンダムを支えた。だが、スタッフをまとめ、作品のユニークな世界観を作り上げたのは監督の富野であることが、会場を巡れば理解できる。
 「演出」という仕事は分かりづらいが、富野自身が会場を見渡し、「自分で考えていたことの広がりや、その強度を確認できた」と喜びを語った。
 ガンダム以降も「伝説巨神イデオン」「聖戦士ダンバイン」など多数のアニメを指揮する。多くに共通するのは、少年らの挫折と葛藤、成長の物語。対立と和解、絶望や悲しみと再起・再生。「それでも人は、生きていかねばならない」という祈りにも似たメッセージを読み取る人もいる。そして、高いドラマ性・エンターテインメント性と、鋭い批評精神の同居。だからこそ、多くの人々を惹(ひ)きつけてきたのだろう。
 22日まで。月曜休館。一般1400円ほか。阪神岩屋駅から徒歩約8分。同館TEL078・262・0901

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