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ヒット続ける自主製作映画「にしきたショパン」 17、18日に出演者の演奏と上映会 神戸 |
更新日:2021年08月11日
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映画について語る監督の竹本祥乃さん。17、18日のイベントでは舞台あいさつに登場する予定=神戸市中央区
西宮を舞台にピアニストを目指す若者を描いた自主製作映画「にしきたショパン」が、大きな反響を呼んでいる。今年3月に神戸・元町映画館などで公開されるやいなや連日満員となり、シネマコンプレックスでも上映された。初の長編に挑んだ監督の竹本祥乃(よしの)さん=神戸市=は「あんなにたくさんの人に見てもらえるとは思わなかった。阪神間の音楽関係者らから話題が広まったことが大きい」と語る。(松本寿美子)
物語の軸となるのは、手が小さく、ショパンに憧れる努力家凛子と、大きな手でラフマニノフを弾く天才肌の鍵太郎。対照的な幼なじみの2人が、阪神・淡路大震災や、指が思い通りに動かなくなる疾患「局所性ジストニア」に翻弄(ほんろう)されながら、焦燥や嫉妬にもがき、音楽に向き合っていく。
近藤修平さん(61)=西宮市=が自らの小説を原案に映画をプロデュースし、クラウドファンディングで製作費を募った。地元ゆかりの主要キャストやエキストラ約300人が出演。同市の県立西宮高校や神戸女学院大、夙川公園などで撮影された。これまでに、ミラノ国際映画祭外国語映画部門最優秀長編作品賞など、14の賞を得ている。
メッセージ性を観客に委ねる作風から、映画館に繰り返し来場する人も。竹本さんは「一度見ただけでは理解できないようにした。その方が心に残るから」と狙いを語る。
脚本も手掛けた竹本さんは、登場人物に自らを投影した。「報われない境遇に苦しむ鍵太郎は以前の私。映画を撮り続けても評価されない、仕事は来ない、無欲な人がうらやましい…。そんな時に、鳥取・米子の映画祭で純粋に映画を愛するスタッフの姿を見て踏ん張れた」と振り返る。
「悶々(もんもん)とした負の感情も、プラスに向ければアートになる。映画を見た人にも登場人物の誰かに自らを重ね、前向きになってもらえたらいいな」と話す。
17、18日には、神戸市長田区若松町4のピフレホールで、映画の出演者らが演奏するミニコンサート付き上映会がある。開演は17日午後2時、6時半▽18日午前10時半、午後2時。演奏者はピアニストの野々村亜梨沙さんら。前売り1800円、当日2千円、学生千円。神戸文化ホールプレイガイドTEL078・351・3349