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「神戸新聞の100日」原作 被災した記者の葛藤描く 関西芸術座が舞台化

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更新日:2021年12月07日

  • 「神戸新聞の100日」を原作にした演劇で、公演を前に稽古する団員=大阪市西区立売堀3、関西芸術座

  • 稽古を前にストレッチで体をほぐす団員たち=大阪市西区立売堀3、関西芸術座

  • 稽古の合間には、台本の確認をし合うことも=大阪市西区立売堀3、関西芸術座

  • 演出の門田裕さんの台本。いろんなメモがしてある

  • 団員にアドバイスをする演出の門田裕さん(右)=大阪市西区立売堀3、関西芸術座

 演劇「ブンヤ、走れ! ~阪神・淡路大震災 地域ジャーナリズムの戦い~」が17、18日、大阪市中央区北浜東のエル・シアターで上演される。ノンフィクション「神戸新聞の100日」(神戸新聞社)を原作に、関西芸術座が舞台化。本番を控えた11月下旬の稽古に密着した。(安福直剛)

 午前11時、演出を担当する門田裕さん(67)が、事務所と稽古場を兼ねた関西芸術座(同市西区)に到着。「コロナでいろいろ気を使います」。本来は震災から25年の節目となる2020年に上演予定だったが、コロナ禍で何度も延期に。「密」を避けるため、稽古はシーンごとのグループに分けるなど工夫してきた。
■一気に緊張感
 全員が初めて顔を合わせるこの日。午後0時半すぎ、出演する27人の団員たちが次々とやって来た。荷物を置いて着替えた後、ストレッチしたり声を出したりして稽古に備える。手際よく机や電話などの小道具も設営した。
 午後1時、門田さんが「そろそろ始めましょうか」と声を掛ける。これまではシーンごとの稽古だったが、この日は「通し」で実施。ちなみに最初から最後まで流すことを「通し」、同じシーンを何度もやり直すことを「小返(こがえ)し」と呼ぶ。
 10分後、BGMが流れ「はい、幕が上がりまーす」との合図で稽古が始まった。台本やパソコンが置かれた机の奥に座り、門田さんが厳しい視線を送る。先ほどとは打って変わって、一気に緊張感が高まる。
■追体験
 劇は、神戸新聞本社の編集局と神戸市東灘区の専売所を軸に進む。被災しながらも会社に駆け付ける記者たち、惨状の中で夕刊を出すと決断した社長、崩れた建物の下敷きになった専売所長-。合間には、ベテランとなった主人公が、新人記者の時に体験した26年前を振り返る場面が何度か入る。
 主人公役を務める菊地彩香さん(26)は震災の時、母親のおなかの中にいた。当時を知らない分、役が決まってから、同市中央区の東遊園地や人と防災未来センターなどを訪ね歩いた。「震災を追体験し、もし記者だったら何ができるかを真剣に考えた」と話す。
 「通し」ではあるが、数十分ごとに稽古が止まり、門田さんのアドバイスが入る。「声は大きければいいというものではない」「せりふを言う時は立ち位置を考える」。穏やかだが、背筋が伸びる言葉。演者とも話し合いながら、演技に磨きをかけていく。
 午後2時45分、幕が下がって休憩となった。張り詰めた空気が緩み、団員たちは食事や雑談をするなど、それぞれの時間を過ごす。「重たいテーマだから、リラックスがとても重要。うまく力みを抜くことで、本番の芝居が良くなりますよ」。団員の1人がそう教えてくれた。
■前に進む勇気
 やがて稽古が再開した。劇もクライマックスが近づいてくる。被災者目線の新聞とは何か-。記者たちの葛藤が表現され、当時高校生で被災した私も、取材中であることを忘れそうになるほど引き込まれた。
 社会部長役の森本竜一さん(45)は、大工だった父と大阪から被災地に毎日通ったという。通常とは違う殺伐とした現場の雰囲気を肌で感じ、それを若い演者たちにも教えてきた。「被災者の思いを忘れないこと、そして、いまのコロナ禍もそうですが、どんな状況でも強い心で前に進む勇気を伝えたい」と話した。
 夕暮れ前、稽古が終了。翌日の稽古に備え、団員たちは「被災地」からそれぞれの巣に帰っていった。
    ◇
 公演は17日午後6時、18日午前11時、午後3時の3回。一般4千円、70歳以上は3500円、障害者と25歳以下は3千円。関西芸術座TEL06・6539・1055

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