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 画家と科学者が異なる視点で描いた植物画を紹介する「描かれた花々-小磯良平の植物画を中心に」(神戸新聞社など主催)が、神戸市立小磯記念美術館(神戸市東灘区向洋町中5)で開催されている。小磯さんが描いた植物画と、植物学者の牧野富太郎さんらの作品を見比べることで、画家と学者、それぞれの視点でとらえた花々の姿を身近に感じることができる。(ライター・加藤紀子)

 小磯さんは1956年から13年間、武田薬品工業の機関誌「武田薬報」の表紙に薬草を描いた。今回は、その中から25点を紹介している。

 最初は「スケッチ程度の気持ちで始めた」と小磯さんは振り返る。しかし創作を重ねるごとに、細かい観察力や表現力を発揮していく。例えば初号に掲載した「オモト」は、後年に描き直した作品と並べて展示。比べてみると、研究を重ねた軌跡、植物画へのめり込んでいった様子を感じることができて、興味深い。

 小磯さんならではの、水彩画でつやなどの質感を表現する手法も多く見ることができる。「ナンバンカラスウリ」は、のちに実を加筆しているが、表面のトゲがとてもみずみずしく、見ているだけでまるで自分に刺さったような痛みすら伝わってくる。また「シラン」は、花と根を巧みな配置で描く。構図に凝って、全体のバランスを意識している様子が分かる。

 一方、「日本の植物学の父」と称される牧野さん。研究対象として植物を観察し、精密に記録した様子が作品の随所に表れる。「ヤマザクラ」は、牧野さんの代表作「大日本植物志」の巻頭図に使われた。中央に花や葉をつけた枝ぶりを描き、その周辺の余白をうまく活用して各部分の詳細図や断面図を配置。卓越した線画の技術を駆使しており、研究資料の域を超えた魅力がある。原画も多く紹介。和紙に墨を使って、とても細かい線で正確に表現するなど、思わず息をのんでしまう。

 同館の学芸員・高橋佳苗さんは、「植物の個性をとらえた画家と、普遍的な種としての植物を観察した科学者。作品を見比べて、異なる視点を感じてほしい」と話している。

 別室では、小磯さんや中西勝さんら神戸にゆかりのある画家を中心に、絵画の中に花が登場する作品も紹介している。中庭では、今回の展示で描かれた幾つかの植物の「実物」を観察することができる。「カリン」はちょうど実をつけており、作品と見比べてみるのも楽しい。

 12月11日まで。月曜休館。一般800円。六甲ライナー「アイランド北口」駅下車すぐ。TEL078・857・5880

 期間中、以下の催しが予定されている。

 ▽記念講演会「牧野式植物図-植物分類学者が描く植物の世界-」 11月3日午後2時から、講師は高知県立牧野植物園・牧野文庫司書の村上有美さん▽マンスリーコンサート・薬用植物画/チェロ 11月20日午後2時から、チェロとピアノのコンサート。音楽プロデューサーの南出卓さんと学芸員のトークも▽学芸員による展覧会解説 毎週日曜日午後2時から(イベント開催時はなし)。

 いずれも聴講無料、要入館料。

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