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 「播磨の小京都」と呼ばれる、兵庫県たつの市龍野町の旧城下町一帯で国際芸術祭「時空の共振」が開かれている。龍野は淡口醤油(うすくちしょうゆ)発祥の地として知られ、城や古寺、町家、醤油蔵が立ち並ぶノスタルジックな街の各所に絵画やインスタレーション(空間芸術)など現代アート約40点を展示。作品の中で「過去」と「現在」が響き合い、「時間」や「記憶」の不思議、豊かさについて考えさせてくれる。(堀井正純)

 芸術による地域活性化を目指すイベント。メイン会場は、大正時代の洋風木造建築「旧龍野醤油同業組合事務所」と「同組合醸造工場」で、ほかに龍野藩主の居宅「旧脇坂屋敷」や「武家屋敷資料館」など計8カ所に作品が並ぶ。東影智裕さん=高砂市出身=や、井上いくみさん=たつの市出身=ら、播磨ゆかりの6人を含む日本とポーランドの美術家10人が出品している。

 注目は姫路育ちの笠木絵津子さんの連作「龍野時空街道」。京都大・基礎物理学研究所の元助手という異色の作家で、レトロな古写真と現在の写真をパソコンで合成・加工し、複数の時空が交錯・混在する「時空写真」シリーズを制作してきた。

 今回の新作3点もその一部。醸造工場内の薄暗がりに並べた長さ約11メートルの大作は、桜や花見をめぐる大正時代や戦前、戦後、今年4月の龍野の人物・情景写真で構成。過去はモノクロ、現在はカラーで、時空のズレを色彩で視覚的に表現する。

 幼少期の自らの姿(モノクロ)を、成人した女性(カラー)が眺める場面など、作品は懐旧の情を誘いつつ、人が成長し、老いて死にゆく存在であることも教える。一方、咲き誇る桜は、いつの世も変わらぬ華やかさを示し、「循環する時間」の象徴にも思える。

 重層的で豊かな時間を表現した作品は、古い建物がいくつも残り、「現在」と「過去」が共存する街に似合っている。

 大西康明さんの「時間の溝 空間の縁」は、円筒形の透明ポリシートの袋が、内部の小型ファンの気流でゆっくりと膨張収縮を繰り返す立体アート。機械的な装置で動くシンプルな作品だが、まるで生きて呼吸しているよう。「時間」や「運動」「生命」とは何かと見る者に再考させる。

 一方、姫路出身の北川太郎さんは、薄くスライスした石を重ね、塔や柱状に構成した「時空ピラミッド」を野外に展示。無数の石片を、根気強く積み上げた立体作品は「時間の堆積」そのもの。見えない時間を可視化したともいえる。青空にそびえる石の柱は、はかなさも帯びて、「賽(さい)の河原の石積み」のようでもある。

 13日まで。メイン会場のみ入場料300円が必要。JR本竜野駅から徒歩約15分。龍野アートプロジェクト事務局(ガレリアアーツ&ティー内)TEL0791・63・3555

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