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 神戸市立博物館(同市中央区)で開催中の特別展「松方コレクション展」(神戸新聞社など主催)は、神戸の実業家・松方幸次郎が、ヨーロッパで1916~27年に収集した油彩画や彫刻、浮世絵版画など約120点を展示する。パリ・オルセー美術館やルーブル美術館など、世界の名門の所蔵作が注目を集めるが、地元兵庫県内からも、巨匠ギュスターブ・クールベの「眠る草刈り女」(西宮市大谷記念美術館蔵)など、洋画9点が出品されている。(堀井正純)

■加西市が所有

 英国人画家フランク・スキップワース作の油彩画「おしゃべり女(婦人の肖像)」(縦180センチ、横102センチ)は、椅子に足を組んで座り、くつろぐ女性をほぼ等身大で描いた大作。ドレスも靴も手袋も、オセロのように左右で白黒の対になったデザインや大きな扇、帽子がユニークだ。

 所有者は加西市。兵庫県立美術館(神戸市中央区)に寄託され、通常は同館に保管されている。「1979年に、地元出身の実業家の遺族から市へ寄贈された。こんな名画を加西市が持っていることも知ってもらえたら」と同市教委の職員はアピールする。

 一方、レオン・レールミット作の油彩画「羊飼いの女と羊のいる風景」(縦95・5センチ、横123・5センチ)の所蔵先は兵庫県公館(神戸市中央区)。同館は、かつて県庁舎として使われた明治の薫り漂う洋風建築で、普段、この絵は館内の「知事応接室」に飾られている。

 レールミットは、「落穂拾い」など農民画で有名なフランソワ・ミレーから強い影響を受けたフランス人画家で、牧歌的な田園風景などを好んで描いた。この作品も甘美な叙情性漂う魅力的な作品で、「国内外の賓客を出迎える応接室にふさわしい大作」と県担当者は胸を張る。

■国内外に四散

 松方コレクションのうち、約1300点の西洋美術品が戦前、欧州から日本へ運ばれたが、昭和初期の金融恐慌などの影響で銀行管理となり、売却され、国内外に四散した。「おしゃべり女」も、「羊飼いの女と羊のいる風景」も、そうした運命をたどった作品の一部だ。

 松方の収集品の売り立て・散逸について、国立西洋美術館(東京都)の陳岡めぐみ主任研究員は、「松方が思い描いた『美術館設立』の夢が挫折したのは非常に残念」と話す一方で、多数の洋画が個人コレクターらの手に渡り、さらに現在、各地の美術館の所蔵品となっている点を指摘。「日本の美術品収集の世界を活気付け、西洋美術の受容を促したという意味で、歴史的意義があった」と評価している。

■盟友の作品も

 県内から集められた作品は、ほかに姫路市立美術館、西宮市大谷記念美術館所蔵の油彩画各2点、BBプラザ美術館(神戸市灘区)の油彩画1点がある。

 また松方は川崎造船所(現川崎重工業)の初代社長を務めたが、同社の健康保険組合(神戸市中央区)から、英国の画家フランク・ブラングィンの風景画「橋」「馬車と橋」の2点を借り受けた。

 ブラングィンは、松方の盟友と呼ぶべき画家で、松方の美術品購入の重要な助言者だった。今では忘れられた存在となってしまったが、1930年代までは欧米で高い知名度と人気を誇り、夏目漱石の小説「それから」にも記述があるほど。

 松方コレクションといえば、近代フランス美術のイメージが強いが、会場ではブラングィン作品を含め、英国絵画も充実していたことを実感できる。

 同展は27日まで。月曜休館。神戸市立博物館TEL078・391・0035

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