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 鉄道の創造性を探る展覧会「鉄道芸術祭」が、大阪市北区中之島のアートエリアB1で開かれている。京阪電車のなにわ橋駅構内にある会場でのユニークな連続企画で、6回目の今年は「ストラクチャー(構造)の冒険」がテーマ。美術家や漫画家ら3組による、複数のインスタレーション(空間芸術)が互いに響き合い、世界や都市、社会の成り立ちについて、さまざまな思索、感情を呼び覚ます。(堀井正純)

 19世紀の欧州では、駅や機関車は近代の象徴だった。鉄道は都市や地方を結び、大量の人や物を迅速に運ぶ不可欠なシステムとして発展。やがて経済、社会を変え、観光やレジャーも生んだ。鉄道の定時運行が、近代的な時間観念を誕生させたともいわれる。

 「鉄道そのものが、社会の基盤にかかわるさまざまな構造を規定したといっても過言ではない」。同展担当者は「構造」をテーマに選んだ理由を語る。

■破壊と創造

 神戸市在住の美術家・榎忠(えのきちゅう)氏は、文明や都市の構造を支える「鉄」を用いた立体アートを制作してきた。

 会場で、金属の圧倒的な物質感、存在感を放つのは約100万発もの使用済み薬莢(やっきょう)を積み重ねたインスタレーション。弾丸のおびただしい“抜け殻”が鈍く輝き、独特の美を示す。林立し、つぶれゆがんだ大きな薬莢は、ときに宗教的な遺物にさえ見える。

 入り口近くには、大砲そのものを模した金属アートも鎮座。これらは鉄などの金属が古来、「創造」の源となり、生活を豊かにする一方、「破壊」につながる武器となってきた歴史を想起させる。

■演奏オブジェ

 重厚な榎作品に対し、音楽クリエイティブチーム「インビジブル・デザインズ・ラボ」による「音のオブジェ」は一見、軽やかで楽しい。

 入場者が会場に置かれたピアノで特定の音階を弾くと、木の玉が階段状の木琴の上などを転がり、音を奏でる。素朴な木琴と、音に反応する先端的なセンサー技術を融合させた。

 ここでは「目に見えないシステム、構造」が観客と作品をつないでいる。背後に見え隠れするのは、もはやスマートフォンやネットなしには成り立たない情報社会だろうか。

 一方、漫画「海獣の子供」や「魔女」で人気の漫画家・五十嵐大介氏は、漫画原画を布に拡大しプリントした作品を展示。万物に精霊、生命が宿っているかのようなアニミズム的世界は、生命の神秘、崇高さを強く感じさせる。

 そこには循環する「生」と「死」があり、「文明」をしのぐ「自然」の圧倒的な豊かさがある。世界の根源にある「構造」を見据えようとするかのような作家のまなざしが素晴らしい。

 来年1月22日まで。1月9日を除く月曜と同10日、12月29日~1月3日休館。入場無料。アートエリアB1TEL06・6226・4006

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