三田

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受験前、アルバイトが休みの日は塾の自習室にこもった=三田市内
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受験前、アルバイトが休みの日は塾の自習室にこもった=三田市内

 昨年秋の夜10時。兵庫県三田市内の塾から受験生たちが続々と出てきた。その中に、自衛官を目指している浪人生のユウさん(19)=仮名=の姿もあった。後輩と楽しそうに話しながら、自転車で帰っていく。週3、4回、警備員のアルバイトで塾代を稼ぎ、大学受験に備えていた。年が明け、志望校に合格した。

     ◇

 勉強を頑張ろうって思ったのは小学校の時。昔から「何で」という疑問を考えるのが好きだったんですよ。でも、母親に質問したら「そんなん知らん、自分で考えや」という答えしか返ってこなくて。僕に全く興味ない感じだった。子どもながらに、親に何を聞いても無駄だと悟ったんですよね。だから自分で勉強するって決めたんです。

 両親は知らん間に離婚して、一緒に暮らしている母親は放任主義だった。「お金は出すから勝手にしたら」という感じだったので、僕は勉強したいって中高は地元の私立に通わせてもらった。自衛官に興味を持ったのは中学に入る直前くらいかな。東日本大震災で、自衛隊が被災した人たちをヘリコプターで救助しているのを見て、あんなふうになりたいと思いました。

 中学の時はロボットづくりに熱中してしまって、あまり勉強しなかったです。偏差値は40前後。このままじゃダメだと思って火が付いたのは高校に入ってから。本気で勉強すると、すぐに偏差値60を超えました。友達にも「宿題、写させてや」って頼られるのもうれしかった。でも、希望している大学は文系で競争率が30倍ある難関で厳しかった。初めての受験は落ちましたね。

 やりたいことも決まっていたので、自動的に浪人生でした。親に頼るのは嫌だったので、警備員のアルバイトで模試代や交通費も稼ぎながら、小さな塾に通うことにしました。大手もあるけど、自分のペースで勉強したくって。

 警備員ってね、大人の話も聞けて、結構面白いんですよ。

 正直、勉強を頑張るのは「認められたい」っていう気持ちがあります。小学校の時、走るのが速くて運動神経がいい子とか、注目の的でうらやましかったから。勉強ができる自分の方がかっこいい。母親に認められたかった部分もあるのかもしれません。

 大学に入って、自衛隊に入って、今は彼女いないですけど33歳くらいで結婚したい。収入が安定してくるころだと思うから。子どももほしい。自分が自由にやらせてもらったから、子どもにも自由にやってほしい。でも、放任はしない。迷っている時には、考える材料を与えてあげられるような大人になりたいです。(山脇未菜美)

■受験勉強の息抜きはどうした?

・寝る前に30分ほど、何も考えない「無」の時間を作った

・夜中に何も考えず、2時間ぐらい走った

・アルバイトに没頭した