三田

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左手の末吉橋から手前が「水辺利用区域」。だがエンジン付きボートは禁止されている=青野ダム
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左手の末吉橋から手前が「水辺利用区域」。だがエンジン付きボートは禁止されている=青野ダム
エンジン付きボートの使用の有無を含め、活動に関する内容は情報公開で黒塗りにされた陸上自衛隊訓練実施計画の写し
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エンジン付きボートの使用の有無を含め、活動に関する内容は情報公開で黒塗りにされた陸上自衛隊訓練実施計画の写し

 兵庫県三田市民の上水源として整備された青野ダム(千丈寺湖)で2016、18年、陸上自衛隊が訓練し、ダム環境を守る条例で乗り入れが禁止されるエンジン付きボートを使っていたことが、行政関係者らへの取材で分かった。条例にある特例に基づき、市長がボート使用を許可したとみられる。ただ、市に情報公開請求したところ、訓練の実施は明かしたが、ボートについては「機密事項」などと黒塗りで返ってきた。ガソリン流出の可能性は市民生活にも関わるだけに、開示の是非は議論になりそうだ。(門田晋一)

 市の情報公開文書によると、市は16年と18年の両8月、陸上自衛隊伊丹駐屯地の第36普通科連隊長から訓練実施の依頼を受けた。市は油が流れるなどした場合は回収することなどを条件に認めたとしている。

 訓練に関わる内容は全て黒塗りされているが、複数の行政関係者が取材に「ダム湖南側のエリアで、夜間などにエンジン付きボートを使って行われた」と証言。同連隊担当者も使用を認め、「陸上でオイル漏れがないかを確認した上で利用したので環境への悪影響はない」と話した。

 水質保全に向けた「千丈寺湖の環境を守る条例」は、湖内でもボート使用ができる「水辺利用」の区域を限定している。行政関係者らが証言した訓練水域はこの区域内だったが、エンジン付きボートは条例で全面禁止されており、違反すれば氏名公表や5万円以下の過料などの罰則がある。

 条例は禁止行為について「市長が特に認めた場合は、この限りでない」と特例を設けている。ただし、市長がエンジン付きボートを許可したかどうかは開示されておらず、その理由は「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす恐れがある」などとしている。

 市の担当者は「自衛隊とは協議していないが、訓練が特定されれば迷惑がかかる」として黒塗りを判断したと説明。「もし訓練で条例違反があった場合は、公表や使用の制限も考える」とした。

■市民に対して最大限の開示すべき 関西学院大学の北山俊哉教授(地方自治論)

 日本の自治体は国から自立した存在と認められているが、国の方針に左右されやすい。あらゆる制度は国と役割を補完しあって確立してきた経緯がある。今回の訓練でも協力関係にあるため、ダムを特例的に貸すことは理解できる。

 もちろん、機密情報は流出させてはならない。だが、エンジン付きボートを使ったかどうかが機密に当たるとは思えない。自衛隊と協議することもなく、議論を尽くさずに全てを非開示にすることは市民の不利益につながりかねず、国への「忖度」とも疑われかねない。

 ダムが市民の財産である以上は、市民に対して最大限の開示をすべきだ。

■なぜ説明責任を果たさないのか 神戸学院大学の上脇博之教授(憲法学)

 情報公開条例は市民の「知る権利」を担保するもので、市は原則公開が前提。今回は必要以上の非開示と言えるのではないか。

 ダム環境を守る条例で禁止されるエンジン付きボートの乗り入れを市長が認めたのなら、なぜ説明責任を果たさないのか。上水への危険が疑われる訓練なのに、環境への影響を検証する機会さえ奪ったことにもなる。こうした観点からも市が非開示について「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす恐れがある」とする理由は通らないと考える。

 市がこうした公開条例の運用を続ければ、特例であってもなくても庁内に「説明しなくていい」という風潮をつくりだしかねない。

【千丈寺湖の環境を守る条例】 青野ダム周辺の環境を守るため、市民らの利用を一部制限する条例。水不足が課題だった三田市では、村を沈めるなどして県が1988年にダムを完成させたが、釣りボートによる水質汚染やバーベキュー客らの不法投棄が続出。市が県、国を巻き込んだ議論の末に2002年、全国に先駆けて制定した。

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