三田

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ピーナツバターの香りの秘密。特殊な液体を噴霧する機械=三田市東山
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ピーナツバターの香りの秘密。特殊な液体を噴霧する機械=三田市東山
昼間はぐったりと座り込む牛。「霧が噴射されると背中を向けて気持ちよさそうやろ」と勢戸章示さん=三田市東山
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昼間はぐったりと座り込む牛。「霧が噴射されると背中を向けて気持ちよさそうやろ」と勢戸章示さん=三田市東山

 「うちの牛舎はピーナツバターの香りがするんよ」。兵庫県三田市下相野の畜産農家で、精肉卸・小売会社「勢戸」を営む勢戸章示さん(44)が教えてくれた。牛舎といえば、牛が容赦なくふん尿を垂れ流していて、独特な臭いがするイメージだが…。半信半疑でその牛舎を訪ねてみた。(山脇未菜美)

 勢戸さんが市内で所有する牛舎3カ所のうち、訪れたのは東山の敷地(約200平方メートル)。田んぼが広がる静かな場所に、巨大な鉄筋造りの建物が立つ。中に入ると、つやつやとした毛並みの黒毛が鼻を寄せてきた。ここに約140頭がいるという。

 「ちょっと待ってよ。(牛舎の)奥に入って」と勢戸さんがにやり。壁のパネル版を操作すると、天井近くに張り巡らされた管の約30カ所から霧が吹き出て、ピーナツバターの甘い香りが漂った。

 霧状の液体の正体は、大阪市の紡績会社「シキボウ」が開発した「デオマジック」といい、不快な臭いをよい香りに変えるらしい。勢戸さんは「牛も臭いがストレスになるんです。体調を崩してご飯を食べなくなったり、風邪をひいたりするからね」と話す。同社によると、噴霧されるのはナッツの香りで、家畜のふん尿の臭いと混ざると、ピーナツバターの香りのように感じるという。

 牛の飼育はとても細やかだ。飲み水はミネラル豊富な武庫川の井戸水にこだわり、食事は麦やトウモロコシ、米粒を適量に混ぜて肉質に影響するタンパク質の配合を計算する。牛が体をぶつけて傷つけないように柵の鉄骨部分は丸くし、牛の角は仲間をけがさせないよう短くカット。週1回は牛舎の除菌も欠かさない。

 愛情を注ぐからこそ、臭いも気になった。「見学に来た人が鼻をつまむのが嫌だった」と勢戸さん。酪農家がデオマジックを導入したテレビ番組を見て、昨年7月に取り入れた。

 デオマジックは暑い日には午前9時から午後5時まで噴射。約20秒ずつ20分おきに噴霧して地面を濡らさず、甘い臭いも牛舎内にこもらないよう大型の扇風機で外に飛ばす。「牛は何もしゃべらんけど、ちょっとした違いで肉色も赤身のバランスも変わる。できることはしてあげたいねん」。勢戸さんは満足そうに話す。

■不快なにおい+別の香りで芳香に ごみ収集業務にも使用

 不快な臭いに別の香りを一体化させる液体「デオマジック」は2011年に、シキボウが開発した。

 同社はインドやアフリカに生息する「ジャコウネコ」の肛門から発する分泌液などの不快な臭いの成分が、実は高級香水に用いられている点に着目。「単体で嗅ぐと臭いが、別の香りを加えることで深みが出る」といい、汚物などの悪臭を消すのではなく、別の香りを混ぜて芳香に変化させる研究に力を注いだ。

 介護施設やペットを飼う家庭に向けて、ふん尿などの悪臭をどうにかできないか-。特殊な液体を染み込ませた生地の開発に成功し、洗濯した後も効果が続くようにスプレータイプの液体も付属品として開発。するとスプレーが話題になり、デオマジックとして商品化したという。

 今や、家庭でキッチンの生ごみ臭をかんきつ系の香りに変えるほか、捕獲されたイノシシやシカといった害獣を土に埋める際に腐敗臭の対策にも使われる。

 ごみ収集業務でも使われ、県内では新明和工業が、製作するごみ収集車に噴霧剤を取り付けて販売している。(山脇未菜美)

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