三田

  • 印刷
境内にまつられた雨乞いの弁天さん=三田市貴志、慶安寺
拡大
境内にまつられた雨乞いの弁天さん=三田市貴志、慶安寺
寺に残された雨乞いの祈祷を書いた紙。少なくとも50年以上行われていない=三田市貴志、慶安寺
拡大
寺に残された雨乞いの祈祷を書いた紙。少なくとも50年以上行われていない=三田市貴志、慶安寺
挿絵・岩本芳子さん
拡大
挿絵・岩本芳子さん
挿絵・岩本芳子さん
拡大
挿絵・岩本芳子さん

 慶安寺(兵庫県三田市貴志)の本堂横に弁天堂があり、手が8本もある金色の弁財天さまが祭られる。親しみを込めて「雨乞いの弁天さん」と呼ばれる。

 弁天さんに会いに、慶安寺を訪ねた。

 お堂に入ってびっくり。台座を含めた仏像の高さは2メートルを超え、金色の体がまぶしい。

 「弁天さんは元々この寺やなしに、もっと山の方からやって来たんやで」と、前住職の前田證一さん(79)がウッディタウンの方角を指さした。聞けば、現在地から数百メートル南西の山中にあった長楽寺の仏像だったが、1614(慶長19)年に廃寺となり、近くの金性密院へ。この寺も明治初期に途絶えたので、慶安寺に祭ってあるのだという。

 「暑いからお茶でも」との言葉に甘え、庫裏にお邪魔した。

 「こんなんもあるんやで」と、前田さんが丁寧に折りたたんだ和紙を差し出した。「雨乞祈祷」と墨書され、三田学園の教諭も務めた父の證真さんが、雨乞い儀式の式次第としてしたためたようだ。

 雨乞いは夏の夜、ため池の水面に陸地がせり出した「出島」で行われた。白い布で巻いた弁天さんを戸板に乗せ、4、5人で担いで寺を出る。ちょうちんを持った村人が先導し、出島に着くとお供えをして深夜まで祈りをささげたという。

 「先代のころが最後なので、少なくとも50年はやっていない」と前田さん。水枯れは農家の一大事だが、伝統の儀式を見てみたい気もした。(高見雄樹)

   ◇   ◇

■三田の民話「雨乞いの弁天さん」

 慶安寺の本堂横に弁天堂があり、手が8本もある金色の弁財天さまが祭られる。親しみを込めて「雨乞いの弁天さん」と呼ばれる。

 昔、田植えの時期になったのに雨が降らず、村のどの池にも水がほとんどなくなった。

 「食べる米も、納める年貢米もないぞ」。村人たちは何度も集まって話し合った。氏神さまに「どうか雨を」とお祈りしたが、降る様子はない。そんな時、一人のおじいさんがこんな話をした。

 「慶安寺の弁天さんのことじゃが…。昔は村の中で一番大きな『上の池』の近くにあった古いお寺におられたそうじゃ。帰りたいと思っておられるかもしれん」

 村人たちは諸手をあげて賛成し、早速準備に取りかかった。弁天さまを新しい白い布でまき、村一番の力持ちが背負って「上の池」の中にある島へとお連れした。祠を建て、お供えをし、村人たちがお坊さんとお祈りを続けた。

 ジビジビ ジャバジャバ ジョボジョボ/雨 たんもれ(賜りたまえ)/じゅうもん(充分)の大雨くだされ水神さん/天にしるけはないかいなあ

 ちょうど7日たった朝、空が曇り、ぽつぽつと雨が降った。やがて本降りとなった。子どもも大人も抱き合って跳ね、天に手を合わせ、その喜びようといったら口では言い尽くせないほどだった。

 それで弁天さまを上の池のほとりにお連れして祈れば雨が降るという言い伝えが生まれたそうだ。(三田市「三田の民話100選」から。挿絵は岩本芳子さん)

三田の最新
もっと見る

天気(9月19日)

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

  • 25℃
  • ---℃
  • 0%

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

  • 29℃
  • ---℃
  • 10%

お知らせ