三田

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キツネといなり寿司の関係を考える鈴木武研究員=三田市弥生が丘6、県立人と自然の博物館
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キツネといなり寿司の関係を考える鈴木武研究員=三田市弥生が丘6、県立人と自然の博物館
いなり寿司に似ている「ハタネズミ」=三田市弥生が丘6、県立人と自然の博物館
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いなり寿司に似ている「ハタネズミ」=三田市弥生が丘6、県立人と自然の博物館
(左上から時計回り)スミスネズミ、ヒメネズミ、アカネズミ、カヤネズミ=三田市弥生が丘6、県立人と自然の博物館
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(左上から時計回り)スミスネズミ、ヒメネズミ、アカネズミ、カヤネズミ=三田市弥生が丘6、県立人と自然の博物館
(上)ハツカネズミ、(右下)ドブネズミ、(左下)クマネズミ=三田市弥生が丘6、県立人と自然の博物館
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(上)ハツカネズミ、(右下)ドブネズミ、(左下)クマネズミ=三田市弥生が丘6、県立人と自然の博物館

 来年の干支は「子」。ネズミの生態を知りたくて県立人と自然の博物館(兵庫県三田市弥生が丘6)を訪ねると、研究員がユニークな仮説を教えてくれた。「いなり寿司のモデルは、ネズミだと思うんですよ」。甘辛い油揚げで酢飯を包んだ、あの通称「おいなりさん」が? 不潔な印象で厄介者のネズミが私たちの食卓で活躍しているとは信じがたいが、聞いてみると納得。ただ、由来には諸説ありそうだ。(門田晋一)

 ネズミに詳しい鈴木武研究員(57)によると、いなり寿司のモデルと考えられるのは、本州や九州の田畑に生息する「ハタネズミ」。標本を見せてもらうと、焦げ茶色の体はずんぐりとして耳は小さく、しっぽは短い。確かに、似ている。

 「見た目だけでなく、この天敵がキツネであるという点が重要です」

 普段は地中で暮らして繁殖力が強く、作物の根っこまで食べるハタネズミは農業者の厄介者だ。ただ地上では動きが鈍く、キツネの格好の餌食になるという。

 キツネは農耕をつかさどる「稲荷神」の遣い。鈴木研究員は、ハタネズミから農業を守ったことが信仰につながった可能性があるとみる。その上で「油揚げが出回るようになり、ご飯を詰めたらキツネの好物ハタネズミに似ていた。これが、いなり寿司の始まりではないか」と推測する。

 ただ、異論もある。すし専門のテーマパーク「清水すしミュージアム」(静岡市)の日比野光敏・名誉館長(59)は「いなり寿司には複数の説がある」と指摘。関西では三角形につくられ、キツネの耳の形を模したという見方があるほか、関東ではご飯が詰まって四角形になり、俵に似ていることから「稲」の「荷物」で「稲荷」になったとも言われるという。

 いなり寿司のモデルは果たしてネズミなのか、キツネなのか、俵なのか…。現時点ではっきりしないが、調べるとキツネの好物がネズミ、もしくは油揚げという伝承は各地に残っている。さらには、ネズミの天ぷらも。岐阜県中津川市の民話「狐膏薬」では、男衆がネズミの天ぷらを罠にして、人に化けたキツネをこらしめたと伝わる。

 鈴木研究員が話した。「キツネは肉食なので油揚げは食べませんが、ネズミの天ぷらはありえるかも…。それが、いなり寿司につながる可能性だってありますよね」

 ネズミといなり寿司の関係解明に燃える鈴木研究員。来年も記者は“チュー視”(注視)していきたい。(門田晋一)

■県内のネズミは8種類 「家ネズミ」と「野ネズミ」に分類

 鈴木武研究員によると、県内には8種類のネズミが生息している。家に住み着く「家ネズミ」と森林や田畑に生息する「野ネズミ」に分けられる。

 家ネズミは、ドブネズミ▽クマネズミ▽ハツカネズミ-の3種類。食物のほか柱、壁といった固い物をかじり、家電製品やインターネットのLANケーブルを食いちぎることも。ペストなどの病原体を媒介する危険性もある。

 野ネズミは、ハタネズミのほか、スミスネズミ▽アカネズミ▽ヒメネズミ▽カヤネズミ-の5種類で、昆虫や農作物を食べる。中でもスミスネズミは、1904(明治37)年に、英国人の博物学者ゴードン・スミスが六甲山で発見した日本の固有種だという。

 体色は、大半が「ねずみ色」といわれる灰色か、灰色に近い茶色だ。

 県内にはほかにもジネズミとカワネズミも生息するが、実は「ネズミ」とは名前だけでモグラの仲間だという。(門田晋一)

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