三田

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穏やかな表情で見守るお地蔵さん=三田市末
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穏やかな表情で見守るお地蔵さん=三田市末
目前には車道と千丈寺湖
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目前には車道と千丈寺湖

 ぽかぽかとした春の陽気に、イチゴをあしらったピンク色のマントが映える。兵庫県三田市末にある末西天満神社の駐車場から西へ約100メートル。田んぼのあぜにたたずむお地蔵さんが愛らしい服を着ていた。背後に田園が広がり、目の前には千丈寺湖。沿道を通り行く車をそっと見守っている。

 着せたのは、近くに住む30代女性だった。話を聞くと、お地蔵さんは女性が子どもの頃から、季節ごとに手編みのセーターや帽子を着ていたという。誰がしていたのかは分からない。ただ、見るたびに心が温かくなっていたのに数年前、お地蔵さんはなぜか“はだか”になってしまった。

 さみしそう…。そう感じて趣味の裁縫を生かし、マントを作ろうと思いついた。1月に寸法を測り、ピンクのフェルト生地に粒まで表現した立体的なイチゴを取り付けた。フードはかぶった時にイチゴ型になるよう、てっぺんにへたを添えた。

 お地蔵さんは温和な表情で何十年も行き交う車を見つめている。なんでも付近の車道であった交通事故の犠牲者を悼み、安全を祈って建てたという説が伝わっているらしい。

 3月16日、女性がマントを着せに赴くと、誰かが既にマフラーを巻いていた。そこでマントをかぶせた上に巻くと、後日にはしきびが供えられていた。夜はまだ冷え込む山村地域に、人々の温かさがつながっている。(山脇未菜美)

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