三田

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パソコンを使って作詞やデザインをする=本人提供
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パソコンを使って作詞やデザインをする=本人提供
作詞を手掛けた北田勝彦さん=本人提供
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作詞を手掛けた北田勝彦さん=本人提供

 「僕の心に広がる夜空には 希望の光が輝く世界がある」-。そんな歌詞で始まる楽曲「未来への翼」。作詞したのは、全身の筋肉が徐々に動かなくなる厚生労働省指定難病「筋ジストロフィー」の患者で、兵庫県三田市大原の兵庫中央病院に入院する男性だ。体力が衰えて楽曲制作にピリオドを打つことを決め、8月25日、集大成となるベストアルバムを発売する。(喜田美咲)

 同県明石市出身の北田勝彦さん(46)。5歳の時に発症し、小学2年から同病院に入院した。小学校から高校までは隣接する上野ケ原養護学校に通った。

 いつもラジオを聴いていた。多くの人に希望を与える音楽が好きで、自分も誰かに生きる喜びを伝えたい、生きた証しを残したい-と2005年、音楽活動を始めた。

 作詞はパソコンのワードで書く。手足はわずかしか動かないため、あごでマウスを操作して文字を打ち込む。障害者の音楽活動をサポートしてくれる人に曲付けを依頼し、ボーカルは知人に協力してもらった。

 どんな遠い夢でも いつか辿(たど)りつけるはず 弱い気持ちにさよならして 強い気持ちで行こう

 07年に作った「君の涙」には大好きだった彼女への思いを歌に込めた。

 彼女とは楽曲のボーカルを募集した時に出会った。互いに病を抱えていたこともあり、支え合いながら自然と惹(ひ)かれ合った。テレビ電話でしか合えない関係だったが、穏やかな日々を送った。彼女の病状の悪化もあって終わりを迎えたが、「この出会いは無駄じゃなかった。幸せをありがとうと伝えたい」と北田さんは言う。

 曲を完成させた後、その年に初めてCD「プレジャー」を発売した。

 しかし、寝たきり状態の中で徐々に自発呼吸ができなくなっていった。誤嚥(ごえん)の危険をなくすため、19年9月、食道と気管を分離する手術を受けた。4時間にわたる手術は成功したが、引き替えに声を失った。

 今もパソコン操作はできるが、15年ごろから疲れやすくなった。身体の衰えを感じ、音楽活動を辞めようと考え始めた。

 「これまでも辞めようと思ったことがあったが、音楽活動を通して出会った人たちに支えられてきた。人の心に自分の思いを伝えたいという思いが原動力になっていた」

 最後のアルバムタイトルは楽曲「未来への翼」を英訳した「Wing to the future」。「どんな運命でも希望を捨てず、自分を信じて進めば運命は変えることができる」というメッセージを込めた。

 初めて自分の運命を知って 一人涙した夜もあったけど 数え切れぬ出会い重ねて 今なら分かるよ 苦しんだ意味を 自分を信じて 歩んだ道は新たな世界へ =未来への翼

 これまでCDのジャケットも複数のパソコンソフトを使って手掛けてきた北田さん。音楽活動は終えても「これからは何かのデザインに挑戦していきたい」と新たな目標を掲げる。

 「僕にとって音楽は、未来への希望。最後まで多くの人の心に届くとうれしい」

 CDは100枚の販売を予定している。注文はメールで、代金は銀行振り込みで受け付ける。メールtaigarz410x@taigarz410x.sakura.ne.jp

    ◇    ◇

「未来への翼」作詞 北田勝彦

 僕の心に広がる夜空には/希望の光が輝く世界がある

 迷いの中で答えを求めて/運命に抗い進む旅人

 混沌な世界との戦いで/傷つき心のカケラを失う

 苦しみだらけの世界でも/温かい人の優しさに触れて

 モノトーンの未来が/鮮やかな色に/染まって行くよ

 自分の弱さと向き合い/強さをつかみ/明日へと駆け上がる

 初めて自分の運命を知って/一人涙した夜もあったけど

 数え切れぬ出会い重ねて/今なら分かるよ/苦しんだ意味を

 自分を信じて/歩んだ道は新たな世界へ/繋がるストーリー

 夢中で拾い集めた/希望の光を翼に変えて/大きく羽ばたき未来へ

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