三田

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人と自然の博物館の中濱直之研究員
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人と自然の博物館の中濱直之研究員
人と自然の博物館で収蔵しているウスイロヒョウモンモドキの標本
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人と自然の博物館で収蔵しているウスイロヒョウモンモドキの標本
カスミザクラの標本
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カスミザクラの標本

 ひとはく(兵庫県三田市)をはじめ、世界中の博物館にはたくさんの生物標本が収蔵されています。この記事では、そうした生物標本に含まれる「遺伝子」の価値についてご紹介いたします。

 遺伝子とはそもそも何なのでしょうか。簡単に言うと、遺伝子は生き物の体を形成する設計図です。遺伝子はそれぞれの生き物同士で少しずつ異なっていて、そのおかげで「個性」が生まれます。生き物同士の遺伝子の違いを調べることで、その地域に何匹いるか? 地域間でどれくらい異なるか?-を推定することができます。

 こうした遺伝子から得られる情報は、生物多様性を守る際にとても重宝されていて、実際に多くの生き物で遺伝子を用いた研究が進められています。

 生物標本は、過去の遺伝情報を内包する、いわば「タイムカプセル」といえます。そのため、すでに絶滅してしまった生物からも標本さえあれば遺伝情報を知ることができるのです。しかし、生物標本は採集されてから長期間経過していますので、遺伝子も劣化が進んでいます。そのため従来の方法では、標本からの遺伝子情報の利用は困難でした。

 10年ほど前から遺伝子解読技術の飛躍的な発展により、標本から遺伝情報を読み取ることが可能になってきました。日本国内でも、絶滅種である「ニホンカワウソ」の標本の遺伝情報を調べた結果、四国のニホンカワウソは127万年前に他から分かれた「独自の系統」だったことが解明されました。また、絶滅危惧種である「コヒョウモンモドキ」(チョウの仲間)の標本の遺伝情報を活用することで、生息地である草原の減少が本種の主な減少理由だったことも分かっています。

 このように、生物多様性の歴史を明らかにし、また守っていくために標本の遺伝情報は大きく役立ちます。現在ひとはくでは、生物標本の遺伝子が生物多様性保全にどのように役立つのかを調べているほか、標本中の遺伝情報を長持ちさせる標本の作製・保管方法の開発もしています。

 急速に地球環境が悪化する今日、生物多様性を持続的に守ることは喫緊の課題です。未来の研究者が標本を用いて画期的な研究をすることで生物多様性を守るためにも、私たちは標本を集め、収蔵し続けます。

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