三田

  • 印刷
苔栽「木霊」を作る今山博之さん。「誰かのためにずっとそこにいる」をテーマに、岩に育てたコケにヤマモミジやイワヒバ、ケヤキを植える=三田市
拡大
苔栽「木霊」を作る今山博之さん。「誰かのためにずっとそこにいる」をテーマに、岩に育てたコケにヤマモミジやイワヒバ、ケヤキを植える=三田市
「ガーデニングフェスティバルinおの」で受賞した「幸せ」。簡単に手に入る花を多用し、園芸への親しみやすさを伝えた(今山さん提供)
拡大
「ガーデニングフェスティバルinおの」で受賞した「幸せ」。簡単に手に入る花を多用し、園芸への親しみやすさを伝えた(今山さん提供)
明石城築城400年を記念し、松竹梅を使ったモス・ボン「歓喜の寄せ植え」(今山さん提供)
拡大
明石城築城400年を記念し、松竹梅を使ったモス・ボン「歓喜の寄せ植え」(今山さん提供)
制作中の苔栽「座禅」。サクラの流木が3点で立つ形から、死木に新たな生命が宿る様子を表現=三田市
拡大
制作中の苔栽「座禅」。サクラの流木が3点で立つ形から、死木に新たな生命が宿る様子を表現=三田市
「創作園芸 癒し屋」。庭から住宅街が望める=三田市
拡大
「創作園芸 癒し屋」。庭から住宅街が望める=三田市

 盆栽と思いきや、かなり違う。山野草を使って寄せ植えを作っている兵庫県三田市内の男性が、自由な世界観を表現する新たなスタイルを提案している。一つは「苔栽(こけさい)」、もう一つは「moss-bon(モス・ボン)」と名付け、それぞれ盆栽の知識を踏まえつつ、ルールに縛られない独創的な見せ方として、数々の品評会で受賞。評判が広がってインテリアや園芸用に注文が相次ぎ、「いつか海外にも発信したい」と夢を広げる。(喜田美咲)

 「自由に草花が咲く森みたいな感じで」「みずみずしく透明感のあるものはできないか」…

 閑静な住宅街にある民家に、今日も多種多様なイメージで全国から制作の注文が入る。

 オーナーは同市の指圧整体師、今山博之さん(50)。自宅で整体院をする傍ら、「創作園芸 癒し屋」の屋号で、大小さまざまな寄せ植えを庭で販売している。

 祖父が大工として造園に携わっていたこともあり、子どもの頃から植物に触れて育つと、いつしか寄せ植え作りが趣味になった。10年前、整体院の客の勧めで品評会に出すと「売ってほしい」と声を掛けられたのを機に、本格的に制作を始めた。

 山野草会や盆栽会、市のさつき会に入って基本を学び、全国の盆栽品評会で賞も獲得した。そこから、しっとりとしたコケの美しさに注目し、独学でアレンジを加えたのが「苔栽」と「モス・ボン」だ。

    ◇    ◇

 苔栽は、盆栽の「盆」そのものをコケの台とし、その上に山野草を植えることでコケの魅力を存分に引き出す。モス・ボン(コケの英訳がモス)は、岩や流木をくりぬいて台にし、コケで彩りつつ、季節や気分によって植物の植え替えを楽しめるようにした。

 その上で、自然の風景を切り出す盆栽に対し、抽象的な世界観を重視。床の間に飾るために鑑賞方向をはっきりさせるという盆栽のルールは問題視せず、360度の鑑賞を意識するようにした。「人間が決めた向きに捕らわれず、どこから見ても美しい姿にしたいと思った」という。

 狙いは当たった。数々の園芸品評会で「これまでにない手法」と評価され、全国から出品がある2019年の「ガーデニングフェスティバルinおの」では、「何気ない日常の輝き」を表現したモス・ボンの「幸せ」がハンキング部門で優勝。手応えを感じて苔栽とモス・ボンは同年、商標登録した。

    ◇    ◇

 これまで企業や個人からの注文で手掛けたオリジナル作品は数百点に上る。漠然とした要望でも、実際に全国の山や川に足を運んだり、資料を調べたりして想像を膨らませ、作品のイメージを固めていく。

 一方で、カウンターに飾る小ぶりな作品や数百円の「手乗りサイズ」も手掛け、新型コロナウイルスの影響で外出を控える人が増える中、「家に緑を置いて癒やされてほしい」と願う。

 創作活動では今、「地球」をイメージしたモス・ボンを制作している。「コロナ禍にあっても自然界は変わらずに営みを続けている」。そんな着想から、緑豊かな星を表現しようと、オリーブなどの大樹や草花をあしらい、高さ1・5メートルの巨大作品にする予定だ。

 「コケは水を掛けると、一層美しさを増す。コケをめでるという日本ならではの『わび・さび』の精神を生かし、自分の世界観を表現していきたい」

三田の最新
もっと見る

天気(8月15日)

  • 35℃
  • 28℃
  • 10%

  • 37℃
  • 24℃
  • 10%

  • 36℃
  • 28℃
  • 10%

  • 38℃
  • 27℃
  • 10%

お知らせ