三田

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アリに擬態するアリグモ。脚は8本生えている(研究グループ提供)
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アリに擬態するアリグモ。脚は8本生えている(研究グループ提供)
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 アリに似た姿に進化して身を守る「アリグモ」は、その代償として跳躍力が衰え、餌を捕る能力を大きく失っていることを、兵庫県立人と自然の博物館(同県三田市弥生が丘6)や京都大学などの合同研究グループが突き止めた。“アリの威を借る”という特殊能力は、実は諸刃(もろは)の剣だったのだ。論文は26日、国際学術誌に掲載された。(小森有喜)

 アリは大きな顎や毒針を持ち、敵に集団で攻撃行動を取るため、昆虫の多くはアリを避けようとする本能を持っているという。

 アリグモは熱帯地域から日本まで広く生息し、捕食者などに襲われないように「アリ擬態」をする。アリグモが属する「ハエトリグモ科」は元来ずんぐりとしているが、擬態を選んだ種は脚だけ8本のまま、アリそっくりに体を細長くして頭部、胸部、腹部を分けた姿になる。同じアリグモでも、どのアリに擬態をするかで種類が分かれ、その数は200種以上に及ぶ。

 研究グループは10年前からマレーシアやタイの熱帯林に赴き、ハエトリグモ科を計600匹近く採取。どれも網を張らずに歩き回り、ジャンプして獲物を捕まえるため、擬態している個体とそうでない個体の動きをビデオ撮影して跳躍能力、捕獲の成功率を比べた。

 すると、擬態していないハエトリグモは体長の3倍ほど跳べるのに対し、擬態したアリグモは最大でも体長と同じぐらいしか跳べないことが分かった。ほとんど跳べない個体もあり、獲物の捕獲成功率も比較するとかなり低かった。

 擬態して餌が捕まえにくくなったアリグモは、植物を食べて栄養不足を補っているとみられるが、一般的に植物はたんぱく質の量が少なく、成長のスピードや繁殖力は制約されている可能性が高いという。

 論文の責任著者で、同館の橋本佳明主任研究員は「なぜわざわざ不利益の大きい擬態を選ぶ種がいるのか。研究を進めれば、熱帯での生物多様性やその保全の研究に役立てられる」としている。

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