「化石発掘調査」という言葉を聞くと、多くの方は研究者が集結して、それぞれの専門分野の視点で調査を行っている様子を想像されることかと思います。
もちろん誤りではないのですが、恐竜化石などの大規模な発掘調査の場合、研究者だけでは化石を探し尽くすことが困難な場合があります。岩石を割るハンマーを持つ手と、岩石に埋もれた化石を探す目が多ければ多いほど、化石を見落とすことなく採取できる可能性が高まります。
兵庫県での発掘調査で、その役割の多くを担っていただいているのが県民ボランティアの皆さまです。2006年に丹波市から恐竜化石が発見されたことをきっかけとして、6年間に及ぶ大規模な発掘調査が行われ、延べ2600人以上の方にボランティアとしてご協力いただきました。また、19年1月から3月にも丹波竜発見地付近で卵化石発掘の調査が行われ、延べ430人以上の方にご協力いただいています。
県において、一般の方が発掘調査に参画する機会はこれだけではありません。大規模な発掘調査後には調査しきれなかった「岩砕(がんさい)」が残されます。それらの岩砕は発掘調査の一貫として、一般の方が参加する化石発掘体験会で使用されます。そして、体験会の指導を行っているのが一定の発掘調査の経験と化石判別試験を経て認定された「化石専門指導員」と呼ばれる方々です。
つまり、現在でも県民の皆さまの参画により発掘調査が行われているのです。このような体験会で発見された化石は丹波竜発見地では総数の4割以上に達し、鎧竜(よろいりゅう)類の歯や密集したカエル類の骨格といった貴重な化石も含まれています。
さらに17年以降は丹波篠山市の川代1号トンネルの掘削工事で生じた岩砕の石割調査が行われており、これまでに角竜類の骨格やワニ類の歯、貝類の化石が発見されています。調査は毎年、春と秋に実施され、4年間で延べ650人以上の方にご協力いただいています。
「篠山層群は金脈である」という言葉を耳にしますが、金脈があるだけではいつになっても化石は見つかりません。丹波竜をはじめとする恐竜類やカエル類の化石、卵化石の採取は県民ボランティアや化石発掘体験会に参加していただいた方々のご協力で成し遂げられています。
もし皆さんの中で恐竜や化石に興味がある方がいらっしゃいましたら、われわれと一緒に新しい化石を求めて発掘調査に参加してみませんか?
