ドメスティックバイオレンス(DV)をはじめとする女性に対する暴力根絶を訴えようと、兵庫県三田市は30日まで、まちづくり協働センター(同市駅前町)に特設の啓発コーナーを設置している。DVを巡っては、県内の窓口に寄せられた相談件数が昨年度、過去最多を更新。市の担当者は「抱え込まずに相談してほしい」と呼び掛ける。(小森有喜)
内閣府の「女性に対する暴力をなくす運動」推進期間(12~25日)に合わせ市が企画。米国発祥の運動にちなみ、紫色がテーマカラーになっている。
啓発コーナーには、DV防止法や相談窓口を紹介する冊子、交際相手からの「デートDV」を若者向けに紹介するポスターなどが並ぶ。内閣府が10月から運用を始めた、性犯罪・性暴力の被害相談ダイヤル「#8891」もPRしている。
このほか、暴力根絶に向けてメッセージを書いてツリーに飾ったり、運動のシンボルであるリボンのピンを作ったりするコーナーもある。
本年度に入ってから、市配偶者暴力相談支援センター(TEL079・563・7830)に寄せられたDV被害に関する相談は、11月中旬で延べ450件を超え、昨年度の675件を上回る勢い。国の「特別定額給付金」に関し、世帯主と離れて暮らすDV被害者からの相談が増えたことが一因とみられる。
同センターによると、昨年度に最も多かったのは身体的被害に関する相談だったが、次いで多かったのが大声で怒鳴るなどの「心理的DV」で全体の4割以上を占めた。
同センターの谷口雅彦所長は「殴る蹴るだけでなく、交友関係を制限する、子どもを利用して危害を加えるといったことも定義に含まれる。相談してみて初めて自分がDVの被害者だったと気付くケースも多い」としている。
■市の「女性のための相談」 高齢者からが増加
三田市が設けている「女性のための相談」窓口では、DVに限らず、配偶者との関係悪化、セクシュアルハラスメントに関する相談などを幅広く受け付けている。担当者によると近年、夫婦関係に悩む高齢者からの相談も目立っているという。
2016年度以降、相談件数は延べ300件前後で推移している。以前はほぼなかった65歳以上からの相談がここ数年で出始め、昨年度も10人以上いた。
内訳は、夫との関係に関することがほとんど。退職して家にいる時間が長くなったことでストレスを感じているケースが多いようだ。「きつい言葉をかけられる」「経済的なことを考えると離婚はできず、どうすればいいか分からない」といった声が寄せられている。担当者は「極端なケースならDVに当たる可能性もある」と指摘する。
相談は平日と第2、4土曜にまちづくり協働センターで実施しており、電話での相談も可能。要予約。社会福祉士などの資格を持つカウンセラーが対応する。女性のための相談TEL079・563・8000
