三田

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「むしとりえんそく」で虫とりを楽しむ園児たち=県立赤穂海浜公園
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「むしとりえんそく」で虫とりを楽しむ園児たち=県立赤穂海浜公園
八木剛主任研究員
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八木剛主任研究員

 博物館って、なんだか、難しいところ…そんなイメージを変えていきたい。兵庫県三田市のひとはくが幼児を対象としたプログラムの開発と提供に力を入れて、かれこれ10年になります。

 近頃の館内は、週末ともなると、ベビーカーでお越しのご家族でずいぶんにぎわうようになりました。これまでに培ったノウハウを生かし、2019年度からは、県内全域の幼稚園・保育園・こども園の子どもたちに自然環境体験の機会を提供すべく、県環境政策課と共同で「ふるさと兵庫こども環境体験推進事業」(愛称・エコロコプロジェクト)を進めています。

 園児たちといっしょに虫とりをしていると、本質的な課題に気づかされることがあります。

 3歳頃の子どもたちは、何かを見つけると「これなあに?」としきりに尋ねます。5歳児ともなると、捕まえた虫の名前を図鑑で調べようとします。名前を知ることで、対象が身近な存在になり、お友だちや先生とより多くの会話ができるようになります。言葉を介してコミュニケーションを行う人類の本能であり、知的好奇心の萌芽(ほうが)です。

 子どもたちに「この虫、なあに?」と尋ねられた時、答えに窮することが少なくありません。「モンシロチョウ」なら子どもたちは納得しますが、中には難しい名前の虫もいるのです。「ヤマトスナゴミムシダマシだよ」では、子どもたちが操る単語としては複雑すぎ、咀嚼(そしゃく)できません。「ゴミムシダマシ」と言い換えても大した改善にはなりませんし「テントウムシ」では不正確すぎます。

 命名経緯は不明ですが、この虫の場合、取りあえず付けられた名が、さしたる不便もないため、継承されているのでしょう。博物館の標本には和名のキャプションが付されていますが、博物館って、なんだか、難しいところ、と感じる原因は、われわれが当たり前のように用いる標準和名そのものにもあるのかもしれません。

 花壇や園庭の片隅でよく見られるこの虫に対して、ある保育園では「はやむし」と名付けていました。いっしょにいるダンゴムシより歩くのが速いから、いつの間にかそう名付けられ、その園では「はやむし」で通用しているそうです。「ゴミムシダマシ」よりはるかにすてきな、ローカルネームですね。

 この3年間ほどで私は、県内各地の56園、2500人あまりの園児たちと、園庭や公園で虫とりをしました。子どもたちが捕まえた虫は300種ほど。中には難しい名前の虫もあります。園児たちに親しみやすく伝える「プレ図鑑」のような何かを、今、試行錯誤して制作中です。来春までには、県内の全園へお届けする予定です。どうぞご期待ください。

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