兵庫県三田市が、上下水道料金の口座振替が完了したことを知らせるはがきの郵送料に年間82万円を支払っていることが分かった。利用者は口座振替をしている人の1割ほどだが、手数料などは徴収していない。市は4月に下水道使用料を引き上げ、市民負担が増える見通し。「無駄な事業の選別ができていなかった」として、制度の廃止や手数料の徴収などを検討する。(高見雄樹)
市には約3万4700件(昨年12月末時点)の給水契約がある。契約者には上水道料金と下水道使用料をまとめ、2カ月に1回請求している。このうち88%の3万500件が金融機関の口座振替で支払われる。
市上水道課によると、口座振替済みのはがきは、振替利用者の9・3%に当たる約2800件に送っている。給水場所と契約者の住所が異なる場合には、自動的に契約者に届く仕組みになっている。「長年やってきたことで、いつから始まったのかは分からない」とする。
口座振替が行われたかどうかは、通帳や口座の入出金明細で確認できる。改めてはがきで知らせる必要性は、一部を除き低いとみられる。電気やガスなど他の公共料金では、ネット配信に切り替えたり、郵送希望者には有料で対応したりするなどコスト削減が進む。
ただ、水道は電気やガスに比べて契約件数が少ない。ネット配信には多額のシステム改修費がかかり、現実的ではないという。
同課は今後、振替済みのはがきを受け取る人に対し、今後も必要かどうかを調査する。廃止や有料化を含めた方針を「できるだけ速やかに示したい」(同課)としている。
市は4月、過去の下水道整備に伴う借金返済の負担が大きく、受益者に負担してもらうなどとして、1989年以来32年ぶりに下水道使用料を引き上げる予定だ。市民に負担増を求める前に無駄な事業の見直しを進めたのかとの指摘に、同課は「振替済みはがきの送付は長年続けており、検討していなかった。改めるべき内容なので、しっかり見直したい」としている。
