「牛みたい」な石を分社 神社の一角に「意志神社」 三田
2021/01/04 05:30
座り込んだ牛の形に見える石=三田市天神3
三田天満神社(兵庫県三田市天神3)の本殿から少し奥に入ったところに、幅1メートルほどの丸みをおびた石がある。生田真(まこと)宮司(59)が指さして言った。「座り込んだ牛みたいに見えるでしょう?」。その頑として動かない“牛”の決意をたたえ、石を「意志神社」と名付けて分社され、今年は「丑(うし)年」とあって正月から参拝客も多いという。実はこの牛、神社の由緒と深い関係があるらしい。(小森有喜)
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どこから持ってこられた石なのか、いつからそこにあるかは分からない。少なくとも生田宮司が神社を継いだ時には既にご神体としてまつられていたそうだ。「一時は別の場所に動かしたが、再びここに戻さざるをえなくなった」との言い伝えもあるという。
この牛は、菅原道真が京都から太宰府に流される最中、牛車を引っ張る牛が「行きたくない」と座り込んでしまった姿に重ねていると伝わる。案内板には「道真に対する忠誠の意志と石をかけた」とあり、三田天満神社は道真をまつる神社だけに、牛もここを動きたくない-というわけだ。
さい銭箱は一応置いてあるが、「投げて石の上にとどまれば幸せが訪れる」とのいわれがあり、さい銭はほとんど石の周辺に散らばっている。生田宮司いわく、さい銭を乗せるのは相当難しいようで、成功率は1割程度とか。記者も挑戦してみたが、これがなかなか難しい。
10円玉ではうまくいかず、試しに100円玉も。1円玉が乗りやすいらしいのでついでに…。えい!、モー、これでもか。
「そうやって熱中しているうちに財布から小銭がなくなる人、結構多いんですよ」と生田宮司が笑う。失敗が続けばさっと引く。そんな意志もしっかりと持ちましょう、と。
数枚投げて結局、牛の体には乗せられなかった。しかし焦らない。丑年の新年、ゆっくりでも、しっかりと。歩みを重ねることが大切だと心に刻んで、境内を出た。