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三橋弘宗主任研究員
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三橋弘宗主任研究員
石組みによって、水生生物の隠れ家や餌となる落ち葉をたまりやすくする取り組み=京都府南丹市美山町
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石組みによって、水生生物の隠れ家や餌となる落ち葉をたまりやすくする取り組み=京都府南丹市美山町

■三橋弘宗・主任研究員

 2010年に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、「愛知目標」が締結され、20年までに「劣化した生態系の少なくとも15%以上の回復を含む生態系の保全と回復」が挙げられています。

 結果は言うまでもなく、国際的な評価は散々なものでした。考えてみれば当然のこと。開発に投じられる予算、マンパワーと比べて、圧倒的に自然再生の方が少ないからです。それに、修理するのは、壊すより骨が折れます。

 では、どうすれば良いのでしょうか。割れた茶わんの修理をイメージしてください。答えの一つは、「チマチマ」と直すこと。誰もが自然再生に取り組むことができる技法を開発して、多くの人が各地で取り組めるようにすることです。人と自然が共生する技術開発と普及は、博物館が担うべき新たな課題の一つだと考えています。

 こうした取り組みを「小さな自然再生」と称して、10年ごろから本格的に取り組み始めました。小規模で低予算で誰もが参加できる技術です。身近な自然環境に対して、手を加える要所を絞り、技術を小規模化することで、市民をはじめさまざまな立場の方が参画できるように改良を繰り返し、効果検証することが研究開発のポイントになります。

 最近の取り組みでは、直線化された川に現地の石を組んで作った水制(突起)やネット状の籠を作って、川の流れに変化をつけて水生生物の生息場をつくる▽落ち葉をたまりやすくする▽魚やオオサンショウウオが段差となる堰(せき)を移動しやすくするための魚道や階段を手作りする▽田んぼの端っこに晴天が続いても水が枯れないような溝を作って水生生物が生き残れるようにする▽川岸の小さな水たまりの周りを掘って本流とつながるようにする▽アユが産卵しやすいよう川底を耕す-など、さまざまな取り組みを行っています。

 中には、生態系の保全だけでなく、洪水対策にも効果がありました。小さな川と耕作放棄田を緩やかにつないで、洪水を放棄田に一時的にためるだけでなく、湿地を維持する技術も開発されています。こうした取り組みは、全国にも広がっており、ネットワークの事務局として知見を集積し普及することも博物館の役割の一つです。

 興味のある方は、「水辺の小さな自然再生」のホームページもご覧ください。

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