全国の祭り風景を写真集に ユネスコ登録の33カ所紹介

2021/02/08 05:30

撮影先で地元の人と交流する森井さん(提供)

 日本最大級の写真公募展を開く一般社団法人「二科会写真部」元理事長で県写真作家協会最高顧問の写真家・森井禎紹さん(79)=兵庫県三田市=が、祭りの風景をまとめた写真集「にっぽんの祭り」を出版した。国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録された全国の「山・鉾(ほこ)・屋台行事」33カ所全てを回った。「登録のお祝いの気持ちを込めた作品を多くの人に見てほしい」と呼び掛ける。(喜田美咲) 関連ニュース ひょうご本大賞に「あの日、小林書店で。」 尼崎の小さな本屋巡る小説 阪神タイガース、2軍施設オープンへ「マジック」点灯 100日前で尼崎の商店街 尼崎→西宮→尼崎「お帰り」 <ヒロシマ・ナガサキ 今こそ伝えたい 県内被爆者インタビュー>(12)葛下友和さん(98)三田市 体験向き合えるまで半世紀


 写真集は縦24センチ、横26センチで132ページ。北は青森から南は熊本まで、2年かけて巡った写真約150枚を選び、それぞれの祭りのいわれや場所、時期などの基本情報もまとめている。
 埼玉の「秩父祭」では、屋台が御旅所に向かって進む上空で花火が打ち上がる瞬間を捉えた。熊本の「八代妙見祭」では、たくましい馬が水しぶきを上げながら川の中を走る様子を迫力たっぷりに撮影。ほかにも、祭りの化粧をしてもらう子どもや、お面を着けた大人を見て泣く赤ちゃんなど、豊かな表情を切り取る。
 森井さんは約60年前、会社勤めの傍ら、趣味で始めた写真で数々の賞を受け、これまで11冊の写真集を出版してきた。
 12作目となる本作は、2018年から制作を始めた。1年目は各地の目玉となる山、鉾(ほこ)、屋台を、2年目は祭りに集う人々を撮影。3年目の2020年に足りない部分を撮りにいこうと考えていたが、新型コロナウイルスの影響で全ての祭りが中止になった。それでも2年間で撮りだめた力作から厳選し、納得いく1冊に仕上がった。
 コロナ禍で撮影する機会が減る中でも「撮り続けないと成長が止まってしまう」と考え、昨年は三田市内で80歳以上の人々の要請に応じ、趣味に励む様子を無料で撮影、現像して贈るサービス「メモリーズ オブ ポートレート」に取り組んできた。
 自身も80歳を目前にして体力的に厳しい時もあると語るが、「次は、同じく無形文化遺産に登録された『来訪神 仮面・仮装の神々』に特化した写真集に挑戦したい」とすでに新たな目標を掲げ、夢中でシャッターを切り続ける。
 税込み3850円。1500冊を書店などで販売する。

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