自作の絵本を市に寄贈 世界で活躍、美術家の新宮晋さん

2021/03/04 05:30

森哲男市長(左)に絵本を手渡す新宮晋さん=三田市役所

 「風の彫刻家」として世界的に活躍する美術家新宮晋さん(83)=兵庫県三田市=がこのほど、自作の絵本13冊を市に寄贈した。絵本は市役所内に置き、来庁した子どもらに楽しんでもらうほか、保育施設などへの貸し出しも予定している。 関連ニュース 杏「ご縁を感じています」 人気絵本「MR.MEN LITTLE MISS」日本語版発売  化け猫や妖怪をかわいく 絵本作家・石黒亜矢子の世界 姫路 化け猫、妖怪キュートに描く 画家・絵本作家の石黒さん作品展 人気作の原画や新作など350点

 新宮さんは、1960年代から制作活動を続け、風や水の力で動く立体作品で知られる。75年には初の絵本となる「いちご」を出版。同作がフランスで教育の選定図書に選ばれるなど高い評価を受けている。
 今回、「地元の子どもたちが豊かな心を持つきっかけに」と、「いちご」を含む作品を市に寄贈。愛犬や仲間とともに自転車で森へ向かう少年の1日を描いた「太陽といっしょ」や、本を開くと緑の大樹や帆走するヨットが立体的に立ち上がる「旅する風」などを贈った。19年に出版した「サンダリーノ」は、サンダルを意味するイタリア語「サンダリ」と三田の地名を掛けた同名キャラクターが主人公だ。
 寄贈された本は市役所2階のキッズスペースに「さんだ夢大使文庫」として設置。要望があれば、市内の保育施設などに貸し出しもできるようにする。
 新宮さんは現在、同市の有馬富士公園で、文化芸術施設「地球アトリエ」の建設を計画している。また、市の広報紙では「三田の子どもたちへ」と題し、サンダリーノが登場するオリジナルの物語を書き下ろすなど、地域に根ざした活動にも力を入れている。
 新宮さんは「どれも子どもたちの顔を思い浮かべながら描いた。これからもたくさん絵本を作りたい」と話していた。(小森有喜)

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