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誇さんに語り掛けるように桜を撫でる佑佳子さん=三田市
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誇さんに語り掛けるように桜を撫でる佑佳子さん=三田市
雲に溶け込みそうな白い桜
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雲に溶け込みそうな白い桜

 「庭に白い桜が咲きました。品種とかは分からないんだけど…」。そんな電話が神戸新聞北摂総局に寄せられ、兵庫県三田市の広岡佑佳子さん(80)宅を訪ねた。桜は夫の誇(ほこる)さんが6年ほど前にプレゼントしてくれたんだそう。誇さんは1月に亡くなった。枝を優しくなでながら、佑佳子さんが思い出を話してくれた。

 緑の葉に雲へ溶け込みそうな真っ白の花びらがよく映える。桜は高さ2メートルを超えるほどに育った。数日前から開花し、2日に見頃を迎えた。

 昨年初めて1、2輪だけ花をつけた。その半年ほど前に入院した誇さんには、写真でしか見せられなかった。

 コロナ禍で面会ができなくなるまでは、子どもたちと毎日交代で通った。20分ぐらいで帰ろうとすると「もっとゆっくりしていきいや」と引き留めてきて、佑佳子さんのかばんを布団の中に隠して抵抗してきた。「かわいらしいでしょ。でもこっちも寂しくなるし、きりがないから」

 料理人だった誇さんは市内に和食店「なすび」を開き、70歳ごろまで腕を振るった。二人三脚で店を切り盛りした当時を「本当に楽しかった」と懐かしむ。引退後、徐々に体を弱くした。85歳、呼吸不全で亡くなった。

 草花を育てるのが好きな佑佳子さんにと買ってきてくれた桜は、誇さんのいなくなった家で初めて咲き乱れた。枝葉をなぞるように見ながら、穏やかに話す。「私、ぼんやりしてて忘れちゃうから、『毎年思い出して』って言われてるんかなって」。柔らかな風が花びらを揺らした。(喜田美咲)

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