三田

  • 印刷
山崎健史・主任研究員
拡大
山崎健史・主任研究員
アリグモのオス(日本)
拡大
アリグモのオス(日本)
アリグモの一種のメス(マレーシア)
拡大
アリグモの一種のメス(マレーシア)

 昨今、新型コロナウイルス拡大防止のため、何かとソーシャルディスタンスが取り沙汰されて、改めて他者とのつながりが生活には欠かせないものだと実感する方も多いのではないでしょうか。

 さて、ヒト以外の生物も、他の生物とさまざまな関わり合いを持って生きています。すぐ思いつくのは、「食べる・食べられる」の関係ではないでしょうか。

 自然界の生物は、生きのびて、子孫を残すため、捕食者に攻撃され食べられないようにさまざまな戦略を進化させてきました。その一つが擬態です。昆虫などの節足動物には、擬態という現象が広く見られます。その多くが、捕食者などの天敵から身を守る効果があります。

 私たちの身近な昆虫として、アリが挙げられますが、アリの周辺を注意深く観察したことはありますか。せわしなく動き回るアリの近くに、まるでソーシャルディスタンスを保つかのようにキョロキョロと周りをうかがうような“アリ?”が見つかるかと思います。実は、それ、アリグモというクモで、アリに擬態しています。

 アリグモの仲間は、日本に6種生息しており、世界から200を超える種が知られており、特に東南アジアの熱帯地域で多様な種に分化しています。なぜ、これほど多くのクモがアリをまねるのでしょうか。

 日本ではアリが凶暴というイメージはありませんが、実はアリはハチの仲間で、東南アジアでは腹部に毒針を持つ種も多く、集団で外敵に立ち向かう攻撃的な昆虫です。そのため、アリを嫌う生物も多く、大型のハエトリグモ類やカマキリなどの捕食者は、生まれた時からアリを嫌う性質を持っていることが分かっています。

 つまり、捕食者は、アリグモを見ると、アリと勘違いしてしまい、襲うのをちゅうちょするという仕組みになっています。アリは捕食者をだますには非常に優れたモデルなのです。

 アリグモはとても身近なところに生息しています。基本的には、樹上性で植物上を徘徊していますが、建物の外壁、公園の手すりなどにも出てきます。

 アリグモを見つけたら、よく観察してみましょう。アリグモはハエトリグモ科のクモで、視覚がとても発達しています。せわしなく動き回るアリと違い、こちらの動きを察知して振り向いてきます。文字通り、目が合うのです。

 アリグモの擬態は、アリが存在したからこそ、長い年月をかけ進化してきたもので、現在も、アリグモはその恩恵を受けています。

 生物は、他の生物との関わり合いの中で生きています。身近な自然のなかにも、多様な生物、多様な関係が見えてくると、とてもかけがえのないものに思えるのではないでしょうか。

三田
三田の最新
もっと見る

天気(6月14日)

  • 28℃
  • ---℃
  • 30%

  • 29℃
  • ---℃
  • 30%

  • 29℃
  • ---℃
  • 20%

  • 29℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ