神戸三田ブレイバーズを歌で応援 元球児のレゲエグループ「MACKJACK」
2021/07/30 05:30
選手へのエールを歌うMACK JACK(ソニー・ミュージックエンタテインメント提供)
〈掴(つか)み取れ栄光を 新しい時代切り開け〉-。兵庫県三田市を拠点に活動する野球のさわかみ関西独立リーグ球団「神戸三田ブレイバーズ」にこのほど、公式応援歌が誕生した。歌うのは兵庫県在住、元球児の4人でつくるレゲエグループ「MACK JACK(マックジャック)」。前向きな葛藤や戦う決意を込めた歌詞が、挑戦する人たちの背中を押す。(喜田美咲)
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楽曲は「泥だらけドリーマー」。ケツメイシなどの作品を手掛けるYANAGIMANさんとマックジャックのメンバーが作詞作曲し、ソニー・ミュージックエンタテインメントから発表した。7月から音楽配信サービスで配信し、動画投稿サイト「ユーチューブ」ではミュージックビデオ(MV)を公開している。
マックジャックは(写真左から)ALI(アリ)さん(29)▽リーダーのM.C.L(ミッチェル)さん(29)▽CHAI(チャイ)さん(29)▽JAGA-C(ジャガシー)さん(29)-の4人組。級友や幼なじみで、全員、中学や高校で白球を追った。照れくさくなるほどまっすぐな言葉で、愛や挑戦を歌う。グループ名はミッチェルさんが高校時代に愛用していたバットからつけた。
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楽曲提供の背景には、メンバーと同球団の元選手の友情があった。
駆け出しだった2014年ごろ、ジャガシーさんはアルバイトをしていた神戸の焼き肉店で当時球団に所属していた長澤信吾さん(27)と出会った。ジャガシーさんは日中働き、夜はクラブやライブハウスで歌声を届けた。長澤さんは練習で汗を流した後、休む間もなく働いた。
メジャーデビューして自分たちの音楽を届けたい。プロ球団で活躍したい。目標は違えど夢を追う仲間として、すぐに打ち解けた。チャイさんも職場に加わり、学生時代の厳しい練習や寮生活の話で盛り上がった。時間がある時、長澤さんはライブに足を運んだ。酒を酌み交わし、夢を語り合った。
野球のことになると熱くて、「来年までにはプロに行きたい」と話していた長澤さんだが、16年に球団を退団。現在は地元の関東で教職に就いている。離れてからも連絡を取り合い、交流は続いた。
マックジャックは17年にファーストアルバムをリリース。19~20年には東京や神戸でのワンマンライブを成功させた。「これから」という時に、新型コロナウイルスの感染が拡大し、ステージは激減した。
ライブ配信などの方法を模索した。そんな状況を聞いた長澤さんが昨秋、川崎大介球団代表にメンバーを紹介。曲を聴いてもらうと「ぜひ球団の応援歌を作ってほしい」と提案を受けた。
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4人の筆はすぐに走った。歌詞には1人ずつのパートがあり、それぞれが作詞している。球場のシーンから始まる前奏は、スローテンポのなかに手拍子が加わり、客席に一体感を生み出すイメージだ。
〈この壁の先には名場面が待ってるからここが正念場 絶やすな希望をどんな時も〉
チャイさんは長澤さんと過ごした日々に書き留めたフレーズを思い浮かべた。
〈失敗して傷ついたって 最後に勝って笑えればええやんか〉
ジャガシーさんは自分自身の弱さとも向き合ってこの言葉を選んだ。
三田市内で撮ったMVには選手も出演。球団のホームであるアメニスキッピースタジアムや武庫川沿いで撮影したほか、試合や寮生活の様子も収めた。曲を聴いた選手からは「まだまだ頑張らないと、と思えた」との声もあった。
「自分たちの曲は泥臭く、でもその人間らしさがじわじわと愛されたら良いなと思っています」とチャイさんは言う。「こんな時だからこそ僕らはもがいて、動きます。がむしゃらに生きるみなさん、ぜひ聴いてみてください」
8月21日、あじさいスタジアム北神戸でのナイターゲームで歌声を披露する。