好敵手そろって全中へ 同じ卓球教室出身の宮下さんと浦田さん
2021/08/20 05:30
全国中学校体育大会に出場する三田学園中の浦田景太朗さん(左)と八景中の宮下翔さん=三田市下田中
24日に栃木県で開かれる全国中学校体育大会(全中)の卓球男子シングルスに、三田学園中学校3年の浦田景太朗さん(14)と八景中学校3年の宮下翔さん(14)が出場する。ともに小学3年で名門卓球教室「その田卓研」(兵庫県三田市下田中)に所属し、全国大会にも出場してきた。今年の市総合体育大会は宮下さんが、丹有地区大会では浦田さんが優勝。中学最後の夏、実力伯仲のライバルが全国で躍進を誓う。(喜田美咲)
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今月7日、神戸市で開かれた近畿中学総合体育大会で宮下さんがベスト4、浦田さんがベスト8に入り、全国への切符を手にした。
浦田さんは同卓研でコーチをしていた父正景(まさかげ)さん(50)の影響で3歳からラケットを握り、2015年5月に同卓研に入った。親子の甘えが出てしまわないようにと、翌年からは同県伊丹市の「T’s zero+」に籍を置いている。
宮下さんは15年12月、同卓研に入会した。祖父、父、兄と続く「卓球一家」に育った。小さい頃から食べるのが好きで、「食べたいなら運動しなさい」と親に言われたこともあり、「ダイエット感覚で始めた」とはにかむ。
2人はめきめきと力をつけ、小学4年時にはそろって全日本選手権に出場。中学生になってからは三田市総体や新人戦など、いつも決勝でぶつかった。試合後には「またな」と握手を交わす。ライバルとはいえ、試合直前まで話し込むほどの仲良し。一方で、プレースタイルは全く異なる。
浦田さんは粘りが持ち味。安定したラリーを続け、相手選手のミスを誘う。対戦相手の癖や弱点を見極め、作戦を立てることが楽しいという。
ほとんど毎日、部活動では高校生に交じって練習し、夜は伊丹の教室に通う。「暇が嫌いで、練習している方が落ち着く」。新型コロナウイルス禍でも歩みを止めず、弱点の強化に努めた。昨年はコロナで教室が一時閉鎖。自宅の卓球台で正景さんと練習したり、公園を走って脚の踏ん張りを鍛え、持久力を高めたりした。
中学入学時に140センチほどだった身長も、156センチになった。さらにスピードをつけ、技術を磨きたいと意気込む。
「宮下君にはパワーがあって、押し切られることがある」。好敵手がそう分析するように、宮下さんは鋭い球で相手を圧倒する。
近畿総体の初戦では、相手に2ゲームを先取されたが、気持ちを立て直して逆転勝ち。そのままの勢いで準決勝まで勝ち上がった。小学校時代は試合が好きではなかったが、中学に入り、別のチームの強い選手との試合が楽しくなり、勝ちたい気持ちも強まった。
互いにライバルと認め合う浦田さんについては「そんな場所に打てるのか、とテクニックに驚かされる」。苦手なバックハンドへの対策とともに、相手を翻弄(ほんろう)するサーブを身に付け、技の幅を広げたいという。
1年生だった一昨年は、2人とも県中学総体のベスト16で終わった。昨年の全中は、新型コロナの影響で中止になった。最後の全中を前に、浦田さんは「挑戦者として、行くしかないという気持ち」。宮下さんは「悔いが残らないよう、全部出し切る」と力を込めた。