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小笠原一禎教授
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小笠原一禎教授
計算によって予測されたさまざまなクロム濃度のルビーに対する色度座標(星印)。実際のルビーの実験値とよく合う結果が得られている
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計算によって予測されたさまざまなクロム濃度のルビーに対する色度座標(星印)。実際のルビーの実験値とよく合う結果が得られている

 ルビーの美しい赤色はどのようにして生じるのでしょうか。ルビーは酸化アルミニウムの結晶にクロムという元素が少しだけ混ざったものです。純粋な酸化アルミニウムは透明ですが、クロムが混ざることにより美しい赤色が生じます。

 色などの物質の性質は、基本的に物質中の電子の振る舞い(電子状態)によって決まります。したがって、物質中の電子状態を計算で予測することができれば、実験的に調べなくてもその性質を予測することが可能になります。このようにコンピューターを用いて物質の性質を予測する研究分野が、私たちの研究室で行っているコンピューター化学です。

 ルビーの着色の原因がクロムであることは実験的に知られていましたが、「どの結晶にどの元素が入ると何色を示すか」ということを計算だけで予測することは、とても困難な問題でした。この問題を解決するために、私たちの研究室では、結晶中の不純物元素の電子状態を計算する独自のコンピュータープログラムを開発し、世界で初めてルビーの「色」を計算のみで再現することに成功しました。色は色度座標(x、y)を用いて数値で表すことができるので、電子状態から色度座標を計算することで色を予測しています。

 不純物元素を含む結晶には、宝石として価値があるだけでなく、電子状態をうまく利用することにより、光を発する材料(発光材料)として、科学技術的にとても役立つ物質も多く存在します。例えばルビーを用いると赤いレーザー光を作り出すことができるため、ルビーレーザーとして医療などに用いられています。

 私たちが開発したプログラムは、まだ合成されていない未知の発光材料の性質の予測に使えるため、新しい発光材料を理論的に設計する上でとても役に立ちます。次世代の照明として注目されている白色発光ダイオード(白色LED)の開発では、より高性能な発光材料が求められているため、白色LEDに用いる発光材料の理論設計に関する研究には、特に力を入れて取り組んでいます。

 最近では、人工知能を活用して電子状態計算と組み合わせることにより、より早く正確に予測する方法の開発も行うなど、新しい発光材料の理論設計に役立つさまざまな方法を、コンピューターを駆使して日々研究しています。

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