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小舘誓治研究員
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小舘誓治研究員
ナマズ石が転がったルート
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ナマズ石が転がったルート
ナマズ石の近くに設置された金属製のネット(2021年3月、芦屋市で撮影)
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ナマズ石の近くに設置された金属製のネット(2021年3月、芦屋市で撮影)

■小舘誓治研究員

 六甲山地にある、通称「ナマズ石」って、ご存知でしょうか? 1995年1月17日の兵庫県南部地震によって動いた石です。石といっても約8メートル×6メートル×4メートルの巨大なもので、重さが推定500トン以上、黒雲母(くろうんも)花こう岩でできています。

 この石は、芦屋市奥山地域の県道334号(奥山精道線)沿いの「弁天岩」の近くの斜面にあります。元あった場所は現在の位置から約300メートル上方の山頂部だったと推定されます。地震発生後、この巨岩が木々をなぎ倒しながら斜面を転がって、幅約10メートル、長さ約300メートルの帯状の森林破壊地ができました。

 破壊される直前の森林は、周辺の樹林や破壊されたところに残された幹などから、高さ10~15メートル程度のアカマツ林やコナラ林、オオバヤシャブシ林が発達していたものと推定されます。

 森林破壊後2~3年目に植生調査を行うと、アカメガシワ、タラノキ、ヌルデ、クサギ、イヌザンショウなどの陽樹(ようじゅ)といわれる樹種が優占する、植生高2~3メートルの低木林が発達していました。またニガイチゴ、ミヤコイバラなどのトゲのある植物や、ミツバアケビ、アオツヅラフジ、ヤマノイモ、テイカカズラなどのツル植物が繁茂していたことが特徴的でした。

 一方で、アカマツの実生(みしょう)が多く生えていました。その後、だんだん樹高が高くなり森林が発達してくると、地表に日が当たりにくくなりアカマツの個体はほとんどなくなっていきました。またタラノキ、クサギ、ヌルデ、イヌザンショウの個体数も少なくなって、アカメガシワ林が目立つようになりました。

 その植生高は、森林破壊後19年で10~12メートル、26年経過した現在(2021年10月)は15~16メートルに達しています。しかし場所によっては、高木が枯れたり、枝が折れたりして、林冠(りんかん)に穴が開いて林内に光が入ることによって、イワヒメワラビ、ベニシダなどのシダ植物や、クサイチゴなどのトゲのある植物が繁茂し、ケネザサ、アシボソ、チヂミザサなどのイネ科植物などが林床で目立つようになっていました。また相変わらずツル植物が多く見られます。いつになると森林破壊前のような森林に戻るのでしょうか? これからも森林の変化に目が離せません。

 一方、ナマズ石の表面には、コケ類や地衣(ちい)類、ノキシノブなどの着生(ちゃくせい)植物が着いていたりします。また今年の3月には、ナマズ石の下方の県道沿いに、道路に石が落ちないように金属製のネットが設置されました。このネットの設置のために周りの木が切られ、県道側からナマズ石がよく見えるようになりました(角度によっては、ナマズ石が網に捕らえられているようです)。このようにナマズ石やその周辺にも変化が見られます。

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