三田小の講堂にあった古い柱時計、愛知の高専生が再生へ 卒業生が懸け橋に

2021/12/27 05:30

鈴木美苗さん

 かつて三田小学校(兵庫県三田市屋敷町)で使われていた古い柱時計を、愛知県豊田市の高等専門学校生が復活させようと取り組んでいる。懸け橋となったのは、同小卒業生の鈴木美苗さん(48)=豊田市。学生が技術を生かし、コンピューター制御に作り替える。(小森有喜) 関連ニュース どちらが日本最古の時計台か… 札幌市時計台と豊岡の辰鼓楼 “論争”に終止符 本当に「日本最古」? 明石の石造り灯台、本来「台形の台座を持つ…」ややこしい注釈付き それでも疑問符 修理ならまかせてニャ 調律師の店主を見守るアコーディオン修理工房の猫たち


 時計は機械式で、30年ほど前まで三田小の講堂に設置されていた。高さ約1・9メートル、幅42センチで文字盤の下に振り子がある。今は完全に止まっている。
 鈴木さんは三田市出身。建設業を営む実家が、講堂を解体して体育館に改修する工事に携わった。柱時計も廃棄される予定だったが「貴重なものだから」と引き取り、実家で保管していた。
 大学で講師として教育学などを指導していた鈴木さん。昨年に豊田高専(豊田市)の学生と合同会社「学生ギルド」を設立し、子ども向けにプログラミング教室を開いている。子どもたちにどんなものを作りたいか尋ねた際、「魔法の時計を作りたい」と声が上がったことがあり、実家にある柱時計を思い出した。活用しようと企画を立ち上げ、豊田市に運んだ。
 レトロな雰囲気を残すため、時計の針はそのまま活用。文字盤は薄型のディスプレーに入れ替えてプログラムした内容を表示する。時間のほか、月の満ち欠けや天気なども分かるようになる。
 作業は学生5人が分業で進め、来年1月中に完成させる予定。その後は鈴木さんが夫と営む豊田市内の時計店に飾るという。
 今回の企画を通じ、三田小の校歌にある「わがまなびやは なつかしや」の歌詞が頭をよぎったという鈴木さん。「学生が技術を持ち寄り、再び時計が動きだすのがすごく楽しみ」と期待している。

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