北摂三田高校(兵庫県三田市狭間が丘1)で昨年、南海トラフ巨大地震を想定した防災訓練があった。全校生が避難訓練に加え、神戸市消防局が考案した災害対応ゲーム「ダイレクトロード」を体験。救助や消火活動など、自分の身を守った後にできる助け合いの方法を学んだ。(喜田美咲)
同校は防災アドバイザーとして神戸学院大学の中田敬司教授(62)=災害医療=を招き、毎年1回、避難と避難所運営の訓練に取り組んでいる。
「ここは瀬戸内海の海辺の町」。校内放送でゲームの説明が始まると、生徒は5~7人のグループに分かれ、状況を把握しようと耳を傾けた。
すでに南海トラフ巨大地震発生から15分が経過した段階で、地震から80分後には津波が到達する、との想定。避難するための20分を確保し、残りの45分で被害に対処するという。
グループには住宅や学校が載った地図と、消火▽避難▽救護▽救助-の四つのミッションを記した紙が渡され、生徒それぞれが内容の異なるヒントカードを頼りに、対応を話し合った。
「てこの原理で物を持ち上げたい」「バールは公園の倉庫にあるよ」「あて木に使えるのは…山下さんちの百科事典かな」。「井上さんが助けを求めてるって。どこやろう」「お寺の近く」。出た情報を組み合わせて場所を地図に落とし込み、解決していく。火事の初期消火やけがの応急処置に対しても、ある物や使える人を考えた。
全てクリアできたグループもあれば、助けられずに終わったグループもあった。中田さんは「ゲームだったら『死んじゃった』で終わりでも、亡くなった人は帰ってこない。情報を早く正しく知り、判断して行動できるようにしてほしい」と話した。3年の女子生徒(18)は「情報をいっぱい話す人とそうでない人がいる。いろんな聞き方で引き出し、答えを見つけることが必要だと思った」と振り返った。
そのほか煙の充満した教室の中を壁を伝って逃げたり、消火器で放水したりする体験もあった。
