三田

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ウド小屋作りの様子=有馬富士公園
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ウド小屋作りの様子=有馬富士公園
福本優研究員
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福本優研究員

■福本優研究員

 みなさんは、三田(兵庫県)の「冬の風景」と聞いて思い浮かべる景色はありますか?

 クリスマスのイルミネーションや正月飾りなど、季節ごとに変わる風景は自身の思い出とも重なり、印象に残っているものも多いのではないでしょうか。実は、季節ごとに見られる風景の中にも、社会の変化、技術の進歩によって失われているものがあります。

 一面に田んぼが広がる三田らしい冬の風景の一つとして、近年まで多く見られたものが『ウド小屋』です。一定の年齢以上の方には、「あぁ、ウド小屋ね」と思ってもらえるかやぶきの小屋ですが、今の子どもたちに質問すると「ウド小屋って何?」とか、「学校で習った」という反応が返ってくるのではないでしょうか。

 三田の名産として有名なウドですが、農業技術の進歩とともに、昔ながらのウド小屋で栽培している農家は数軒しか残っていません。ひと昔前ならば、冬になると、田んぼの中にウド小屋が立ち並んでいましたが、今では失われてしまいそうな冬の風景なのです。

 そこで、2021年12月に有馬富士公園でウド小屋作りを継承しようと、今でも小屋で栽培されている農家の方に教えていただきながら、県内の大学院生らにも参加してもらい、実際に小屋を作るワークショップを行いました。ウド小屋は稲木、稲わら、田んぼの土をうまく使って建てるのですが、今回は公園内の田んぼや池の端の茅(かや)を活用し、近所の雑木林から竹も提供していただきました。講師役の農家の方は、「小屋作りが年末の大仕事なんや」とおっしゃっており、農家の暮らしのリズムをつくっているのだと改めて感じられる機会となりました。

 裏山の木々を利用することで維持されていた里山の風景、地域の祭りや農の風景など、時代の変化とともに失われてしまう風景はたくさんあります。さまざまな人のなりわいと結びつきの強いこれらの風景は、単に「残そう!」と声を上げて残せるものでもありません。こうした風景は以前からの生産法だから得られる価値や、効率的な農業・作業が生むものとは違った側面から見た新しい価値が見いだされなければ継承されてはいきません。

 「あれ、最近見ないな」という風景に少し思いをはせてみてください。それらの背景にあるなりわいや暮らしの営みがあります。例えば、地元産のものを買う、休日のイベントに参加してみるなど、ちょっとした行動の変化がこうした風景を次の世代へ引き継いでくれるかもしれません。

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