毎年恒例のアマゴ釣り大会。何度も取材はしているが、多くの人が集まるその魅力を探るべく、出場してみた。アマゴ釣りどころか釣りざおを持つことすら人生初の筆者。「出るからには優勝してきます」。どこからかわいてくる自信を胸に、上司に宣言した。結果はいかに。
大会前、さおの扱い方や狙い目を参加者らが教えてくれた。水温の低い今の季節、アマゴは川底近くに潜むといい、水深が深く流れが緩やかな岩場に糸を垂らした。
この時点で、前夜にインターネット検索で仕込んだ釣りの知識は海釣り用だったことに気付いた。
ゆっくりと餌を流し、時折揺らして誘う。要領は分かったはず。1時間。2時間経過。釣れない。「私のところだけ放流されていないのでは?」と大変失礼な疑いまで持ち始めた。
「あっちの小学生、10匹釣ってるで」。そう声を掛けられ、取材名目で視察した。寺嶋純輝君(8)=大阪府箕面市=は普段海釣りをしており、川は初めてだが、「川の方が釣りやすい」という。「魚をよく見て、魚の気持ちになって」と助言を受けた。
残り1時間ほどになり、ようやくヒットした。最終結果は2匹で最下位。寺嶋君は11匹で、女性・子どもの部の2位だった。甘くみていた。こんなに頭も体力も使う競技だとは。没頭できる時間が心地よく、再挑戦を決めた。
周囲の協力を得てありつけたアマゴの塩焼きは、くせが無く、ふっくら香ばしくてお酒が進んだ。(喜田美咲)
