三田の大歳神社、屋根の檜皮を35年ぶりふき替え 1264年創建の重要文化財
2022/09/24 05:30
35年ぶりに檜皮がふき替えられた大歳神社の本殿=三田市大原
大歳神社(兵庫県三田市大原)の本殿の檜皮(ひわだ)ぶき屋根が35年ぶりにふき替えられ、23日、氏子らに披露された。本殿は室町時代の建築物で、県重要文化財にも指定されている。地域に伝わる神楽で完成を祝い、郷土愛を育む場として受け継がれていくことを願った。(土井秀人)
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神社は1264年に創建されたと伝わる。本殿は室町時代後期の1560年に再建。建築様式や彫り物に当時の特徴が残っており、1973(昭和48)年に県指定重要文化財となった。
檜皮とはヒノキの皮。約30年に1回ふき替えており、前回は87(同62)年に行っていた。それから30年以上がたち、檜皮が腐ったり、植物の芽が生えてきたりと、経年による傷みが目立っていた。氏子らは改修に向けて県などと調整を重ね、ようやく実現したという。
工事は村上社寺工芸社(丹波市)が請け負い、今年5月から始まった。建物の周りに足場を組み、日本伝統の技術を駆使。完成した屋根は檜皮が緻密に組み合わさり、優美な曲線を描いている。
この日は、工事の間拝殿に移していた神体を本殿に戻す「正遷宮(しょうせんぐう)奉祝祭」が開かれ、氏子ら約70人が参加した。宮司が祝詞を奏上し、氏子でつくる保存会が神楽を披露。笛と太鼓に合わせて獅子が優美に舞った。
氏子総代の芝中義明さん(74)は「ようやくふき替えができ、きれいになってうれしい。神社は度重なる戦乱や災禍に遭ってきたが、氏子たちが志を継承してきた。私たちも高齢化しているが、後進に引き継いでいきたい」とした。