地域の観光振興 食と文化通じ、近隣の市と連携 有馬温泉つうしん
2022/10/31 05:30
皷の滝で披露する能面
某大学の観光学部を兵庫県・三田の高校生が受験しています。観光地におけるDMOの在り方を2次試験でプレゼンテーションしなければなりません。ということで有馬温泉にヒアリングに来ました。DMOの意味はD(誰も)M(みんな)O(お友達)で、広いエリアで手を組んで観光客を迎えようということ。しかし「課題として行政の壁がなかなか崩せない」と説明しました。
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有馬温泉は滞在時間をのばす取り組みとして、多くの体験プランをつくって観光協会のサイトで販売しようと考えています。
「ロースハムの出来たてはうまいで。10分が賞味期限だけど」という話を聞きました。ロースハムの試食だけでは物足りないので、三田屋本店で能を教わり、ランチを出すプランを考えました。リポーターと下見に行きました。丸優の社長にレクチャーを受け、防菌ウエアに着替えてロースハム製造エリアに入ります。チャンバーと呼ばれる大きな燻製(くんせい)釜が開けられ、つるされた出来たてのロースハムが取り出されます。速やかに1センチ幅で切り分けられたものを口に運ぶとすごく柔らかくジューシー。初めての体験でした。これをプランとして実現できたら、絶対喜ばれると確信しました。
その後、三田屋本店に移動しランチを食べて能の基礎を学びました。その際、11月22日に三田市総合文化センター・郷の音ホールで能の「鼓の滝」の能が開かれることを知りました。1466年に有馬に来た相国寺の季瓊真蘂(きけいしんずい)ゆかりの能です。
同行したリポーターはいわゆる「古墳オタク」。三田から有馬に帰る途中、携帯の地図アプリで「この辺に古墳がある!ここにもある!」と言っていました。その時に西宮市の青石古墳を知り、翌朝行って見てきました。青石古墳は6世紀後半から7世紀前半のものということが出土品から判明しています。ということは「631年、有馬に来られた舒明天皇を迎えた地域の豪族の墓ではないか」と思いました。
近くの公智神社や有間神社の来歴から、現在の西宮市山口町あたりが当時の有馬郡の中心で、主要産業の一つが木材だと知りました。そうであれば、青石古墳からくぎが出てきたのは木棺で埋葬されていたから、ということもうなずけます。これはこれで新しい歴史のプランがつくれると思いました。
近隣の市の情報は神戸市の有馬に伝わりにくい。しかし行政の壁を取り払って連携する事で、地域の観光振興が図れると思います。
先日の学生さん、プレゼンテーションはうまくいったそうです。質疑応答では想定外の質問をされて戸惑ったそうですが、たくさん質問されたということは、脈ありではないかと思います。観光を学んで、将来この地域の観光振興にかかわってもらえたらと願っています。(有馬温泉観光協会)