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時計2017/4/20 05:30神戸新聞NEXT

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■生活基盤、崩壊の危機

 兵庫県宍粟市北部の波賀町鹿伏地区。夏場はキャンプ場などのレジャー客でにぎわうが、過疎化の波が押し寄せている。

 今年3月末。地域の防火を担う市消防団鹿伏部が廃部になった。団員には10人が名を連ねていたが、地元で暮らすのは40~50代の4人のみ。いずれも昼間は地区外で働き、火災に即応できる団員はいなかった。

 団員の1人は「消防団に頼られても対応できない。地区の高齢者で初期消火できる体制をつくる方が現実的」と苦渋の決断を語る。

 地区では2013年のクリスマスの朝、2人が亡くなる民家火災があった。その半年後にも空き店舗が全焼した。約60年前には集落の半分が焼ける大火があった。最寄りの宍粟消防署波賀出張所までは約15キロ。住民が対応しなければ惨事につながりかねない。

 今月から、自治会の自主防災会に所属する70歳以下の男女約30人が、消防ポンプの点検や消火栓の使い方などの訓練を始める。消火活動の中心は60代が担う。

 自治会長の小椋龍雄さん(64)は「みんな40歳まで消防団にいた経験者。初期消火さえすれば、近隣の消防団も消防署も来てくれる」。ただ、将来を見据えると「5年後は私も70歳。このまま高齢化が進み、近隣の消防団も廃部となったら、いよいよどうなるか」と不安をのぞかせる。

 旧4町の合併で宍粟市が誕生して12年。北部3町は人口が4414人(23%)減少し、高齢化率は36%と8ポイント上昇した。波賀町北部は既に5地区で消防団がなく、一宮町北部の繁盛地区(8自治会)は消防団を一つに集約した。千種町では分団の再編が進む。

     ◇

 人口減は生活基盤も脅かす。昨年6月、北部3町を管内とするハリマ農協が組合員に配布した資料は、住民に動揺を与えた。

 「Aコープ事業は客数減少による不振が続き、店舗集約などの見直しを提案したい」

 一宮町北部と波賀、千種町には、地域唯一のスーパーとして同農協直営のAコープが1店ずつある。長年不振が続いているが、農協幹部は「地域の買い物の場を守るため維持してきた」という。

 しかし、人口減に加え、通勤帰りに山崎町などで買い物をする住民が増えた。他社の宅配事業も普及。赤字を穴埋めしてきた金融事業の伸び悩みもあり、収支改善が最重要課題となった。

 農協幹部は「経営だけを考えれば答えは決まっている。だが農協は地域貢献が使命。住民の利便性と両立する方策を検討している」と苦悩の表情を見せた。

     ◇

 宍粟市長選、市議選が23日に告示される。山間部の過疎化は深刻さを増し、集落の消滅が現実味を帯びる地域も出てきた。市は人口減少に備え、小学校や幼児施設の再編を進め、若者を呼び込もうと移住・定住対策に力を入れる。地域としていかに生き残るか。岐路に直面する現状を取材した。(古根川淳也)

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