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生きづらさを抱えた人が思いの丈をつづった文集「はるはな」と、編集に当たる稲村清香さん=太子町老原
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生きづらさを抱えた人が思いの丈をつづった文集「はるはな」と、編集に当たる稲村清香さん=太子町老原

 人生の悩みや病気、障害など、生きづらさに直面する人が文章で表現できる場をと、太子町社会福祉協議会ボランティアセンター(兵庫県太子町)が今春、文集「はるはな」を発刊した。障害のある女性、不登校の生徒、発達障害の子を持つ親らさまざまな書き手がままならぬ日常との格闘、挫折、怒りなど、ストレートに心の内をつづった言葉や困難に向き合う姿が共感を呼び、読者を増やしている。

 きっかけは、同センター職員稲村清香さん(43)と学習障害があった中学生との出会い。小説を書いていたが周囲の理解が得られず、隠れて書きためてはやり場のない苦悩を募らせていた。稲村さんが気付いたのは、絵画などと異なり、文字の表現活動は見てもらえる機会が少ないこと。投稿サイトは発表の場の一つだが、パソコンがなかったり、保護者の管理下でアクセスが難しかったりと環境が許さない事情もあった。

 そこで稲村さんは「生きづらさを抱えている人」を対象に原稿を募集。引きこもり経験者や障害者ら5人からエッセーなど7本が寄せられ、今年4月に和歌の枕詞から名付けた「はるはな」の刊行にこぎつけた。

 障害のある30代の女性は、何度も挫折を味わい、居場所を見つけるまでの半生を回顧。世界中の虐げられ苦しむ人たちに心を痛める引きこもりの男性は、〈発狂しそうなくらいの無力さ〉を抱える自分と向き合う。不登校の生徒は、周囲と合わせられない悩みや〈普通〉を強いる周囲への違和感を、内面から絞り出すような言葉でつづった。

 8月発刊の第2号でも嫁姑問題で苦労した女性の話など6本を収録。読者からは「率直な表現で筆者の心情がよく分かった」「前向きな姿勢に心を打たれた」との反応が寄せられた。

 身体障害者の女性(41)=姫路市=は、電動車いすを操って出会いを求める旺盛な行動力を、両号でユーモアたっぷりに表現した。「障害は暗いイメージを持たれがち。自分のことを分かってもらいたかったし、読者の反応があると思いをもっと伝えたいという意欲が湧く」と語る。

 稲村さんは「偏見を助長する心配もあったが、どんなことを日頃考えているか、違った一面を読者に伝えられる。書き手は思いが受け入れられ、ありのままでいいと自分を肯定できる後押しになったのでは」と話す。

 発行は不定期。文集は同センターで配布。小説、俳句や短歌、詩なども受け付ける。居住地は問わず、ペンネームや匿名での掲載も可。メール(taishi-shakyo@seagreen.ocn.ne.jp)でも投稿できる。太子町社協ボランティアセンターTEL079・276・6632

(松本茂祥)

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