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小雪が舞う中で開かれた、引原ダム完成60周年の記念式典=宍粟市波賀町日ノ原
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小雪が舞う中で開かれた、引原ダム完成60周年の記念式典=宍粟市波賀町日ノ原

 125世帯約500人が立ち退きを迫られた引原ダム(兵庫県宍粟市波賀町)の完成60周年を記念する式典が23日、同ダムを見上げる下流公園であった。ダムは播磨臨海部に工業用水を供給し高度成長を支えた一方、今も故郷を失った喪失感を抱え続ける人がいる。元住民の1人は「播磨の発展の陰に引原の犠牲があったことは忘れないでほしい」と還暦の歩みを振り返った。

 「すすむ世のためとてあはれさざなみのそこに消えぬる引原の里」。小雪が舞う音水湖畔には、ダム建設当時の阪本勝知事が揮毫した記念碑が建つ。

 引原ダムは県が建設し、1958年3月31日に満水になった。工業用水や発電、かんがい、治水に使われ、昨年7月の西日本豪雨では下流の被害を防いだ。

 水没した引原地区は、波賀町北部の旧奥谷村最大の集落だった。住民の大半はたつの、姫路市内に移転。十数戸が引原の高台に残ったが、現在は1世帯のみに。自治会も解散した。

 引原で親が旅館を営んでいた男性(81)=同市=は、高校2年時に姫路市内へ移転した。元住民が4年に1度集まる「引原会」もあったが、高齢化で2004年に解散。今は引原出身者も子や孫の代になり、連絡がとれなくなってきたという。

 「渇水で自宅の井戸が見えた時は情けなかった。引原が残っていれば奥谷村は合併せず過疎も進まなかっただろう。都市の発展に貢献した引原を忘れないでほしい」と振り返る。

 県職員には今も「引原に犠牲を強いた以上、県は波賀町北部の発展に責任を持つ」という精神が伝わっているという。式典に訪れた東元良宏西播磨県民局長は「住民のさまざまな思いをくみ取りながら、地域の安全安心とカヌーを生かした観光振興に力を入れたい」と話した。(古根川淳也)

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